荒井由実『雨の街を』を聴いて、寝ます。
荒井由実『雨の街を』
オリジナル発売日:1973年11月20日
荒井由実(ユーミン) のファースト・アルバム。オリジナルは1973年11月20日に当時の東芝EMI株式会社からリリースされた。
ひこうき雲 (荒井由実のアルバム) – Wikipediaより
ユーミンの『雨の街を』。
私は平成生まれなので、この曲がリリースされた時代は知りません。ただ、はじめて聴いた時(生意気にも)「そう、そうだよ。この曲が聴きたかったんだ!」と、言い知れぬ感動が押し寄せたことを覚えています。
小?中学生時代(←そこは覚えていない)毎週通っていたレンタル店でユーミンのアルバムを借り、焼けたか確認するため順に再生していると、流れ出したピアノイントロからの「夜明けの街はミルク色」で引き込まれ、夜までずっと聴いていました。
にも関わらず、つい最近まで”歌詞は見ない派”だったので、今、歌詞をきちんと見ながら聴き、再び感動に浸っています。
ユーミンの曲の世界
私の中でユーミンと言えば、”目に浮かぶ”曲の代表。
宮崎駿監督『魔女の宅急便』では、キキの旅立ちの日、父から貰った(奪った)ラジオで『ルージュの伝言』を聴きながらのオープニング。幼心に歌詞からイメージした都会の女性、今聴くとDoo-Wopや(ラジオを切らせた)先輩魔女のシーンから「田舎者のキキが想像する都会へのワクワク」を表しているのかなとも感じたり。あの1曲で頂点に達したワクワク感からの、ツンデレっぽい(嫌いじゃない)先輩魔女からの貨物列車で・・・話が脱線。
『雨の街を』の歌詞解釈
曲と歌詞が美しくつながったときの、シンガーソングライターの輝きたるや。
出だし「夜明けの雨はミルク色」、あのピアノイントロで、メロディで、この歌詞。夜までリピートしても仕方が無い。
私ははじめ、メロディの雰囲気から街灯か車のライトで照らされたミルク色の雨の世界をイメージしました。歌詞だけ読むと、”夜明け”なので朝日と雲と夜が混ざった紅茶よりのミルク色もイメージできますが、メロディにその明るさは無いなと感じたり・・。
ただ、続く「ささやきながら 降りてくる 妖精たちよ」の歌詞で、もっと明るい白に変わったり・・。”降りて来る妖精”なので、雨のことでしょうか。
同じメロディの「庭に咲いてるコスモスに口づけをして」はメルヘン女子と秋のイメージだけでなく、色も見えてきます。白よりも、”口づけ”のシーンから唇のピンク、口紅の紅あたりがしっくり。「あなたの家まですぐに おはようを言いにゆこう」なので、化粧の比喩かもしれません。
その次の同じメロディでは「夜明けの空はブドウ色」、広がる色の世界。
「妖精」と「魔法つかい」で、ファンタジーの世界かなと思っていると、「いつか眠い目をさまし こんな朝が来てたら」で主人公の妄想だとわかります。曲の雰囲気に合わせた、少し悲しい解釈が合いそうです。
「ミルク色」のリアルから「妖精」でファンタジーが濃くなって「ブドウ色」で再び現実が濃くなる印象。「誰か」のリアル→「あなた」のファンタジー→「誰か」の変化とほんの少しアダルトな曲の雰囲気から、「大人の女性(になりかけ?)、空想(現実ではない)、夏が終わり来る冬(寂しさ、切実さ)」など色々重なって、なんだかそのまま言葉にしてはいけないような感情を、違う言葉(歌詞)で表現した曲に思えます。
「誰かやさしくわたしの肩を抱いてくれたら」”眠れる”だとそこで終わりですが、「どこまでも遠いところへ 歩いてゆけそう」。タイトル”雨の街を”につなげて・・映画のよう。フォークっぽい男性目線の”二人で歩いてゆく”とはまた違う、なんというか、聴き手の想像力(妄想力)でどこまでもふくらませそうな物語。
演奏は、ピアノの雨と、エレピの(トレモロの?)波紋、重なるベースとドラム。YouTubeの映像ではオルガンにエレキギターも加わって、やさしく抱かれ朝まで聴いていられそうですが、寝ます。
ありがとうございました。
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