欅坂46の2枚目シングル、『世界には愛しかない』。
欅坂46『世界には愛しかない』!
『裸足でSummer』『失いたくないから』ときて、坂道シリーズ夏曲歌詞分析3曲目。今ハマっている遊び(練習)「坂道シリーズ夏曲歌詞分析」。今回はこの曲を。
『世界には愛しかない』歌詞解釈!
歌詞の内容はストレートですが、表現は豊かな曲だと感じましたので、そちらの解釈を中心に。
曲の感想は「欅坂46おすすめ曲!」にて。
※歌詞は無料歌詞検索サイトなどをご覧ください。
ボブ・ディラン
まずは印象的なタイトル『世界には愛しかない』。
見た瞬間に「そんなことはない!」と、突っ込みたくなるタイトル。穢れなき心と曇りなき眼を持った少年少女以外は、素直に受け入れることができないタイトル。宗教や哲学、「質量には引き寄せる性質があり、それが我々の世界の・・」など学問的な考え方を排除すれば、何の躊躇もなく言えるヤツなんてこの世にいないだろう思える、主語が何か欠けているのではないかと探してしまうくらい、真っ直ぐな主張。
ですがこれ、(おそらく)ボブ・ディランへのオマージュです(歌詞は『I Threw It All Away』にて検索)。
実はこのシングルのカップリングに『ボブディランは返さない』という曲があります。秋元氏サイドからヒントを出していくスタイル。おそらく(気恥ずかしさもあって)気づいて欲しかったのだろうと、勝手に解釈しています。笑
長濱ねる
歌詞を聴くと、欅坂46ファンの方は「あれ?」と感じる箇所があると思います。
「最後に大人に逆らったのはいつだろう?
あきらめること強要されたあの日だったか」
ここの歌詞は、途中加入した長濱ねるへの”当て書き”ではないでしょうか。
深読みすると
「ただじっと眺め続けるなんてできやしない」
「誰に反対されても(心の向きは変えられない)」
「アスファルトの上で雨が口答えしてる」
「君に遭った瞬間 何か取り戻したように」
あたりもそう。
2015年、欅坂46の1期生オーディションを受験。第3次審査まで突破するも自身の母が反対し、東京都内で開催される最終審査当日の朝に地元・長崎に連れ戻されてしまい、最終審査を受け損ねる。しかしその後、長濱の父親が運営スタッフに相談、後日スタッフが長濱と両親を乃木坂46のライブに招待し、話し合った結果、特例で欅坂46に遅れて加入させることが決定し、芸能界入りする。(中略)同時に下部組織であるけやき坂46(ひらがなけやき)のメンバーとして活動することが発表される。
長濱ねる – Wikipediaより
ですので、歌詞に登場する”僕”か”君”のどちらかに「長濱ねる」を当てはめて解釈すると、ストーリーがより面白くなります。世界にはアイ(ドル)しかない。
僕と君の視点
wikiによると、秋元氏は「歌詞に”ポエトリーリーディング”を加え、演劇部っぽくできたら面白い」と考えていたそうです。
なので、歌詞を”僕視点”だけではなく”君視点”で読んでも面白い。
個人的には「君=長濱ねる」と考え、「真っ白な入道雲・・」の語り、”長濱ねる”を思わせる部分は”君のセリフ”として聴くとしっくりきます。
サビの「それが(それが)僕の(僕の)」は、「僕(君)」で歌っていると考えた方が演劇っぽいですし、”僕が君を探している”だけでなく”君も僕を求めている”方が、シーンに動きが生まれ、最後の「君に遭った瞬間」も演劇っぽい画になるので好きです。
※(追記)コメントで「僕=長濱ねる、がスッキリする」という意見をいただきました。興味のある方は、是非コメント欄をご覧ください。
表現1「絶対届かない」
ここからは歌詞の表現について。
はじめの語り「夏の青い空がすぐそこにあった。絶対届かないってわかっているはずなのに・・」
この箇所で、「君への想い」は「絶対届かない」のだろうなと聴き手に解釈させ、でも”僕”は「つま先で立って思いっきり手を伸ば」す諦めない性格で・・演劇っぽいです(笑)。
表現2「入道雲がもくもくと近づいて」
wikiによると、振付のTAKAHIRO氏は
入道雲は主人公をはばむ困難、蝉の鳴き声は主人公の声を代弁するメタファーになっており、夏の蝉のような一過性の声を発することによって太陽が一瞬ひるんだように見えた主人公は、複雑な世界が単純に解決可能であるかのように思えた。それが「君に遭った瞬間」であり、主人公は愛を信じたいと願う。
世界には愛しかない – Wikipedia
と解釈されたそうです。
想像力豊かで、”表現者!”という感じがします。
私は、「君への想いがもどかしい」から「僕はつま先で立って思いっきり手を伸ばした」だとして、「入道雲」は主人公と「青い空(君との未来or太陽=君)」をはばむ困難だと解釈しました。
蝉が鳴くのは”(メスを求める)愛”で、タイトルと「単純な感情で動いている。」につなげ、「太陽が一瞬、怯んだ」のは・・なんだろ(笑)。「太陽が入道雲に隠れた」のを、”怯んだ”と表現したのでしょうか。映像的には、カメラが一度引いて太陽が小さく映る画もイメージできます。
表現3「夕立」と「涙」
「夕立」のような「予測できない未来も嫌いじゃない。」
多くの人が”避けたがる”夕立のようなものも含めて「未来には愛しかない」。この歌詞の中での”愛”は”夕立”も含めての愛なんですね。
「悲しみなんてその時の空模様」につづく「涙に色があったら」。
悲しみ→涙
空模様→雨
で、「涙=雨」でしょう。
そうすると、「アスファルトの上で雨が口答えしてる」は「雨が跳ね返る→反発(反抗)→口答え」に”涙”も加えて、「あきらめること強要、悲しみ、涙の口答え、」と、より”長濱ねる物語”として楽しめます。
表現4「歩道橋」と「虹」
ここの表現が、この曲で一番好きです。
最初に登場する「歩道橋」。そして、最後に登場する「虹」。
歩道橋は「歩道と歩道をつなぐ橋」。
虹はよく”架け橋”と表現されます。
はじめの「歩道橋」では、大袈裟に言うと「二人を隔てていた何かを越える(横断する)」決意をした瞬間を表現しているように感じます。そして何やかんやあって、最後「僕が君に遭った」瞬間に、より大きな「虹」を登場させて。絵的には”青い空”にも届いて。
両方とも「何かと何かをつなぐもの」なのですが、それが歌詞中の「僕と君」であったり、「欅坂46と長濱ねる」であったり、「漢字とひらがな」であったり。「雨が上がり虹が架かってハッピーEND」と読んでいた方は、是非「歩道橋」も合わせて解釈してみてください。
以上です。
夏曲いいですね。
ありがとうございました。
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コメント
羊できました。2015/8/21(夏)→バス→セカアイ→WK だと思っています。で、セカアイは、「アイドルの世界には愛しかない」と、御両親に伝えている歌だと。「最後に大人に逆らった…」から手に持つ傘(両親の庇護)を後ろへ投げて、メンバーが(欅に)集まったり、教室を飛び出して橋を渡ったり(ルビコン川を渡る)、勉強していた小さな教室から、広い草原(アイドルの世界)に移り踊ったりといったMVを見た御両親は、秋元さんがつけられたタイトルの意味合いをそのように感じ取られたかと思います。ちなみに、「君への思い」の君=アイドル、と捉え、僕=ねる、とするとすっきりします。またこれにより、バスの「空に伸ばした掌」→「思いっきり手を伸ばした」と繫がります。
独創的なMV解釈ですね。私はMV視聴後「青春だなぁ。部屋を暗くすると差し込む光が良い感じになって、演劇っぽく映るなぁ」程度の感想しか浮かびませんでした。
『乗り遅れたバス』の歌詞を絡めての解釈は流石です。というより今初めてそんな歌詞があることを知りました(笑)。普通に流れで解釈すると「あきらめること強要されたあの日だったか」は”僕”の歌詞なので「長濱ねる=僕」になると思います。ただそこは歌詞の面白さと言いますか・・私的にこの曲は「君に遭った瞬間」の「君=長濱ねる」の解釈が好きですね。
コアなファンの方からコメントいただけると勉強になり、嬉しいです。ありがとうございました。