ギターアンプには、いくつかの種類があります。
違いと特徴を知って、最適な1台を選びましょう。
アンプとは?
エレキギターなどで使用するアンプ。
音を増幅・音色を加工する目的で使用します。エレキギターから送られた電気信号を受け取り、アンプ内部で増幅・調整・加工を施して、スピーカーから音を出す仕組み。
音を増幅させる機能の他、音の加工によるエフェクト機能、細かい音の調整をするイコライジング機能など、最近では、小型アンプでも多くの機能が搭載されたモデルも増えてきました。
アンプの種類と違い!(見た目)
ライブ会場やスタジオで見かけるスタック・タイプと、自宅練習用として人気のコンボ・タイプを覚えればバッチリです。ラック式のアンプもありますが、とりあえず置いておきましょう。
【スタック・タイプ】
”二段積み”や”三段積み”のように、キャビネットの上にヘッドアンプを乗っけたスタイル。アンプと言ったら、このイメージの人も多いのではないでしょうか。
○ アンプヘッド
”アンプ部分”です。キャビネットの上に乗っけて使うことが多いので、アンプヘッド(ヘッドアンプ)と呼びます。この中に、プリアンプとパワーアンプが入っています。
・プリアンプ
プリアンプは、ギターなどから入力された信号を調整・増幅。ギターから入力された弱々しい信号を、パワーアンプに渡せるよう”パワー”を与えます。
アンプに設置されたツマミを回して歪みを足したり、「Treble・Middle・Bass」をいじって音調(トーン)を調整するのもこの部分。ディレイなどのエフェクトをかける機能も、プリアンプに含めて考えてもいいでしょう。
おまけ(センド/リターン)
ディレイなど空間系エフェクターを使用する時に、初めてその存在を知ることとなる”センド/リターン”端子。実はプリアンプと、次に紹介するパワーアンプとを繋ぐ端子。
プリアンプとパワーアンプの間に、エフェクターなどを挟むときに使用します。
(Roland JC-120)
例えば、ディレイをセンド/リターンに繋ぐ場合だと
【プリアンプで”歪み”などを作る】
↓センド端子(プリアンプから出力)
【ディレイをかける】
↓リターン端子(パワーアンプに入力)
【パワーアンプでパワーアップ!】
を、アンプヘッド内で行います。
・パワーアンプ
パワーアンプは、プリアンプで作った音を、増幅させる装置(回路)。
「30w」や「100w」などのワット数(出力)は、アンプのレベルのこと。ここで増幅させた音を、最終的にキャビネット(スピーカー)を通して出力します。
おまけ(VOLUMEとMASTER)
スタジオなどにある大きなアンプを使うとき、
「音量調節するツマミが2つもあるやんけーー!」
と驚いたことがあるかと思います。
機種によって違いますが、基本的に”VOLUME”はGAINなどと一緒にクランチ系の歪み(ゲイン)作りに使用。”MASTER”は最終的な音量の調整に使用します。
実際の内部構造はわかりませんが、私のイメージは、”VOLUME”はプリアンプの調整、”MASTER”はパワーアンプの調整という感じ(実際は違うかも)。
そもそも”歪み”というのは、アンプの”音量”を上げていくことで(音が潰れて)得られる効果なんですね。
○キャビネット(スピーカー)
この、いかにも大きな音が出そうな装置が、キャビネット(cabinet=外箱)です。中にスピーカーが入っています。キャビネットは、プリアンプから受けた信号を実際に”音”として出力する役目を担います。
スピーカーなので、「キャビネットを使用せずに音を出す」という選択肢もあります。例えば、演奏会場の都合で「左右スピーカーから”のみ”音を出したい」場合、「アンプヘッド→ミキサー→左右スピーカー」という選択肢も、無いことはありません。ただ、”インピーダンス”という面倒臭い術式が使える能力者がいないと、機材が壊れる可能性も・・。
【コンボ・タイプ】
コンボ・タイプは、プリアンプ・パワーアンプ・スピーカーが全て一体となったアンプ。
”小型アンプ”の種類が豊富で、自宅練習用アンプには持ってこい。
最近だと、ここにデジタルに再現した音を足した、モデリングアンプが人気。マルチエフェクターのアンプ版みたいな感じです。
アンプの種類と違い!(中身)
アンプは中身(増幅回路)によって、大きくトランジスタアンプと真空管アンプの2種類に分けることができます。
アナログ回路とデジタル回路という分け方もできます。デジタル回路にもトランジスタは使われていますし、最近はデジタル技術を使ったアンプが多いため、どこで線を引くかが問題。個人的には、デジタルアンプ≒モデリング・アンプと単純に考えています。
【ソリッドステート(トランジスタ)】
ソリッドステートアンプ(トランジスタアンプ)は、増幅回路に”トランジスタ”を使用したアンプです。
小型アンプの大部分がソリッドステートアンプで、特に”真空管アンプ”と記載されていない場合は、大体ソリッドと考えて良いでしょう。壊れにくく、メンテナンスもほぼ必要ありません。
サウンドは真空管に比べて、”冷たい音”と表現されることもあります。なんというか、”生感”が真空管に比べて薄いです。
真空管が緩やかに歪むのに対して、トランジスタは急激に歪みます。クランチの幅が狭いとも言えます。一方でギター自体の特徴を素直に表現し、比較的音作りもしやすい。そして何より小型アンプの種類が豊富なので、自宅練習用アンプとしておすすめです。
【真空管(チューブ)】
真空管アンプ(チューブアンプ)は、アンプの増幅回路に真空管を使用したアンプです。暖かく柔らかいサウンドが特徴と言われ、音圧があり、”歪み”が豊かな、古き良きアンプです。スタジオなどで実際に使用して、違いを確かめてみてください。
注意する点は、トランジスタに比べて、少ないワット数でも音量が稼げるということ。「トランジスタが15wで丁度良かったし、真空管も15wにしよ」と思ったら、「お、音でけぇー」ということも。
一概にワット数で比較できませんが、大体「真空管は、トランジスタの半分のワット数でも、同程度の音量が出せる」というイメージ。
あと、真空管の方が危険(感電しやすい)です。重量もあり、メンテナンスも必要。手間のかかる、愛着のわきやすいアンプとも言えるでしょう。
【モデリング・アンプ】
上の2つとは分類が異なりますが、最近の小型アンプ市場では、アンプの音をデジタルで再現したモデリング・アンプが人気です。
近年のマルチエフェクターの進化を見ればわかるように、モデリングのクオリティは、どんどん本物に近づいています。デジタル回路で再現できるため、小型アンプにピッタリ。PCと接続して音色をカスタマイズする機能で、より自由に。
アナログとデジタル。それぞれにメリットがあるので、上手く使い分けていきたいです。
練習用アンプをお探しの方は「自宅練習用アンプの選び方」をご覧ください。
ありがとうございました。
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