作詞のコツと方法! 初心者が書いた12の歌詞

作詞初心者です。

何冊かの本を読み、とりあえず12曲書いてみました。初心者の私が「これは良い!」と感じた作詞テクニックやコツ、書いてるうちに発見した作詞法を紹介します。鮮度は抜群。完成度は・・うん。

初心者が作詞した12曲!

素材として使用したのはテレビアニメ『ひだまりスケッチ』。1話見て、癒されて、書いてを繰り返し、12曲書きました(1番のみ)。1話から順に書いたので、徐々に成長・・はしてないか。

1話『冬のコラージュ』/1曲目『冬のコラージュ』
2話『ニッポンの夏』/2曲目『Chemical Summer』
3話『またはインド人』/3曲目『白または青』
4話『歌うショートケーキ』/4曲目『いつか蝶になって』
5話『こころとからだ』/5曲目『38度世界』
6話『ひんやり・まったり』/6曲目『ノコギリだから』
7話『嵐ノ乾燥剤』/7曲目『無彩色の雲』
8話『3%の希望』/8曲目『One more day』
9話『裏新宿の狼』/9曲目『裏新宿の狼』
10話『ゆのさま』/10曲目『二度湯~未完成な今~』
11話『まーるキャベツ』/11曲目『吉野屋’17』(替え歌)
12話『ChristmasEve/サヨナラ…うめ先生』/12曲目『ひだまりスケッチ』

「何この歌詞、チョーキモイんですけど」と感じた方は、以下参考にしないでください。”チョーキモイ歌詞”を書くことになります。(※テクニックと素材に罪は無い。)

歌詞を書く前に!

作詞に関する本は、熱量がすごいです。「”歌詞なら簡単に書ける”なんて思うな!」「ヒットするのは一握りだ!」「テクニック化された時点で、もう古くて使えない!」など。全ての道は、松岡修造に通じていたんですね。

☆「ハードル0」からのスタート☆

私は「”歌詞なら簡単に書ける”と思うな!」の意見には反対です。初心者は「歌詞書くなんて、楽チンじゃん!」と楽に考えたほうが、ペンが進みます。「ナメてかかろう」ではなく「リラックスして」。ハードルを設定するマゾプレイ(修行)は、後々に。

☆「深い歌詞」はまた後で☆

“深い”が何を意味するのか意見が分かれますが、以前勝手に分析したAimerの『蝶々結び』はその一つかもしれません。最近チャレンジした(けど微妙な解釈に終わった)「BUMP OF CHICKEN」や「RADWIMPS」も歌詞の人気が高いイメージ。「いくつかの捉え方・解釈ができる」「深い(容易に見つけられない)意味がありそう」な歌詞。

他にも、
・物語・ドラマ性がある。
・大人っぽい。
・反道徳的(常識とは逆)なのに共感。
・暗い(マイナス)だけど美しい(プラス)。
・哲学、宗教っぽい。
・詞のセンス含め、芸術っぽい。
・思いつかなかった言葉で、的確に代弁。
・初めて出会う考え方(価値観)。
・とにかく自分の心(の深い所)に到達した。

まだあると思います。
が!そんなもの、初心者が1時間「うーん」と考えたところで、作れないでしょう。”懲りすぎない作詞”からはじめます。私が目安にしているのは、30分

あと、そもそも「深い意味のある(ありそうな)歌詞を書きたいのか。好きなのか」という話。感動ポイントは人それぞれ。ちなみに私は「独自ルールで遊んで(作詞して)そう」な歌詞に惹かれます。でも、意味無く属人的な歌詞は嫌い。←いらん情報

☆テクニックは、その都度選択する☆

「サビは簡単に。みんなが歌えるような感じ」など、作詞本にはいろんなテクニックが紹介されていましたが、必ず守らなければいけないルールではありません。

「行き詰ったら、良い感じのテクニックを選択する」くらいが、丁度良いでしょう。

作詞は、作曲より自由度が高い
曲だと「自由に作る!」と言っても、調性やカデンツ、コード進行など、ある程度パターン化されています。そして、そのパターンを外して”良い感じ”に聴かせる為には知識が必要。しかし、歌詞は”言葉”です。文法を守っても良いですし、完璧に無視しても構いません。結果に満足できれば。

楽にいきましょう。

作詞のコツ!

※本から得たテクニックは、都度記載します。

★テーマ・物語を考える★

なんといっても、まずはテーマ。「何でも良い」と言われても困ります。私はとりあえず、『ひだまりスケッチ』からヒントを得ることにしました。

「主人公、登場人物の設定」「お話の世界観」「何をどのように伝えたいのか?」「誰(性別・年齢含む)に聴かせたいのか?」「誰の視点(主人公、ナレーション、etc)で書くのか?」など、意識するポイントはいくつかありますが、とりあえず書き始めてみるのがコツです。

私は1曲目(設定は冬)の1行目に「まだ秋だ 何も思いつかん」と書きました。※後に修正。

●(仮)で考える

書いている途中に「他のテーマ・物語」が浮かぶことがあります。それも、かなりの確率で。テーマは(仮)で考えていいでしょう。

●「熱量」は適切か?

思いどおりに作詞ができる本のテクニック。

「私の歌を聴けー!」という気持ち、「空前絶後の歌詞を書きたい」気持ちが強くなりすぎて、熱量が多すぎる「うざい」歌詞になってしまう・・というのが、作詞あるあるの1つだそうです。

テーマや物語、歌詞に合わせて、適切な熱量を意識してみてください。曲(と歌手)の温度が高くても、歌詞は意外に冷静な曲もあります。

●「キーワード」を別の角度から眺める

いくつか「キーワード」を書き出した後、そのキーワードに至った背後の物語を一旦忘れてみます。

次にキーワードを別の角度から眺め、材料を探す。細かく分解、再構築しても構いません。

例えば、私が「ひだまりスケッチ」第8話で書いた『One more day』。8話は「小説家の沙英が締切の日を向かえ、編集さんから逃げる(隠れる)」という話でした。

ここから「もう1日だけ」というキーワードが浮かんだのですが、「(もう1日だけ)待って欲しい。明日には書き上げるから。」というバックストーリーを、一旦消します。

そして別の角度から眺めると、

・(もう1日だけ)あなたといたい
・(もう1日だけ)遊びたい
・(もう1日だけ)しか残っていない
・(もう1日だけ)遅かったら、今頃は

のように、いくつかの材料ができました。今回は「(もう1日だけ)あなたといたい」を採用し、このような歌詞に↓

表せない 言葉には
はじめての 思い出に 勝てないの
だけど今は 書ける気がするわ
あなたと二人 One more day

『One more day』のサビ

あなたと二人 One more day(もう1日)」過ごせたら「書ける気がするわ」。

2つ以上の意味が絡むと、気持ち良いです。

●「連想」する

基本的なテクニック。

例えば、私が9話で書いた『裏新宿の狼』。裏原宿ならぬ裏新宿というタイトルは、9話に登場する岸ちゃん(やまぶき高校卒業生)の、自主制作映画のタイトルです。劇中(1期)では内容は一切出てこなかったのですが「タイトルが面白い」ということで、連想してみました。

「裏新宿」→歓楽街→夜のお店→ホストクラブ
「狼」→肉食、性欲、童話(狼少年、三匹の子豚、赤ずきん・・)、オス

ホストクラブ+狼+赤ずきんを
裏新宿と混ぜ合わせて↓

『裏新宿の狼』

(※Aメロ)
ここはもう2年 噂にも慣れた
2周目の遊び 友達ごっこ

今週末の おつかいは
おめかしをして 裏新宿

(※Bメロ)
鮮やかな星 愛のせせらぎ
これが噂の 欲望の森

見つけた小屋 そっと覗くと
ヒツジの皮が よく似合う狼(ひと)

(※サビ)
なんて大きなお耳なの
もっと聞きたいな 君のこと

なんて大きなおめめなの
君の目は何故 笑ってないの

なんて大きなおててなの
左手出して 「しあわせ」

なんて大きなお口なの
それは君を 食べてみたいから

この曲に関しては、(赤ずきん物語を検索する時間含め)30分以上かかりました。物語系は、登場人物の設定に時間をとられます。

サビは、狼(ホスト?)と主人公(女性)の掛け合い。デュエットも面白いかもしれません。

「左手出して しあわせ」の歌詞は、お仏壇CMのアレンジ。アダルティな世界観(設定)に子どもっぽいネタを入れ、童話感と絶妙な”ダサさ”を演出しています。笑

●キーワードを「同人化」する

日常系アニメの”長所”「すんごい事件が起こらない」。日常系アニメ嫌いの方にとっては”短所”とも言えます。普段はニコニコ癒されるのですが、歌詞を作成する上では苦しみました。

”無理やり物語を作る”ときにおすすめしたいのが「キーワードの同人化」です。「(二次)創作」の意味で捉えてください(”同人”と言いたかっただけ)。

例えば、私が5話で書いた『38度世界』。5話では、主人公のゆのが風邪を引くという事件は起こるのですが、彼女の”夢の中”の描写が多く、困りました。

物語をつくるため、5話に出てきたキーワードを書き出し「冬、雪、風邪、38度、リンゴ・・」。これを基に、考えていきます。

まず、(二次元界では平安時代『鳥獣人物戯画』より受け継がれし)擬人化を用い、リンゴを主人公に設定。あとは、残りの風邪、冬、あたりをくっつけて・・「冬、赤くなったリンゴが、風邪、熱、恋でさらに赤く」という話を妄想。できた歌詞が↓

『38度世界』

(※リンゴパートA)
月明かり 悩む リンゴは 夜と雪に つつまれて
微熱に 色づき変わる この身を 恥じながら
このまま 時よ止まれと 祈ったの

(※サビ)
赤い赤い頬 熱帯びて
あなたの手が そっと触れる

言葉より早く伝わる
このまま 一緒に 38度世界

(※リンゴパートA’)
月夜に 悩む リンゴは 夢のまま 決してさめぬよう
うつせぬ 想いと知りこぼす この実よ 割き乱れ
あなたのくちびるに 濡れたい

※サビ

・思春期の体の変化(赤色)に恥ずかしさを覚えるリンゴ。
・好きな人はその赤に惹かれた。
・風邪、熱、照れでより赤く。
・熱が伝わる→想いは?
・果ては・・。
このように、妄想を膨らませました。

「こんな(キモイ)歌詞、無理!」という方は、”萌え”を受け入れるところから始めてください。日本の闇であり、光です。笑

小さなこだわりポイントとして、「さめぬ」は”覚めぬ”と”冷めぬ”の意味を持たせ、ひらがな表記。「割き乱れ」は、耳で聴いて「咲き乱れ」、歌詞カードを見て「割き乱れ」に気づく、という遊びを入れました。

あと、書いているときに思ったのですが、リンゴは擬人化(特に頭部)に向いています。ブドウやバナナだと「頬に手が触れる」がしっくりきません。

あともう一つ、途中「シミできる前に塩つけて」という歌詞をひらめき「なんとかねじ込めないか」と真剣に悩んでしまったのですが(作詞練習なのでむしろ良いんですけど)、テクニックの無駄遣いは逆効果。”好き”より”巧い”を優先したくなるのは、初心者あるあるなのかもしれません。

●エピソードを「装飾」する

私は『ひだまりスケッチ』からヒントを得ましたが、エピソードをそのまま使ったのは2つか3つ。残りは手を加えたり、全く関係ないストーリーを書きました。

「書きたいエピソード」をそのまま歌詞にするだけでなく、足したり引いたり、装飾するようにして、テーマ・物語を作ってみてください。

私が10話で書いた『二度湯~未完成な今~』。10話は、前半に「やまぶき祭」があり、残り半分以上が「入浴シーン」という回でした。主人公ゆのの展示作品『文化祭の準備(描きかけの画)』と「銭湯」は書きたかったのですが、この2つがつながりません。

そこで、「ゆのの画」を描いた宮子を登場させ、あれこれ装飾、お話自体も妄想で盛りました。

だいたいの設定は、
ゆの:未完成の画→”今”を描けない(描きたくない)、人の目を優先、過程を肯定したい(知って欲しい)自分、”夢”が目的化、価値を未来に置く。
宮子:ゆのの画→”今”に価値を置く、不完全なもの(ゆの)の美しさ、自分に無いものに惹かれる、自分の目が優先、過程は楽しい。

すると、なんとなくイメージが膨らんできます。矛盾がどうとか、細かい設定は一旦置いておきましょう。できた歌詞は↓

『二度湯~未完成な今~』

(※Aメロ)
「好き」 ってキミが言ったこの画(え)
目をそらしてはにかむ 本当は
まだ描きかけなんだけど

まだ 見つかってないんだ
空白を埋めるもの 未完成
キミは何を見つめてる?

(※Bメロ)
行こうか 常夜灯 回る影
白い息の 煙突 

指差し嬉しそうに 消えてゆく今を見つめてる

(※サビ)
明日になっても 今日ならいいのに
思い出が 冷めないように
大切に つかってくよ

今日の「ありがとう」 あふれちゃう前に
ためてた湯 もう一度だけ 

温めて 明日(あす)からはきっと

「画と風呂」つながったと思ったのですが、こう見ると微妙です。くやしい。内容が複数(未完成の画、価値観の違い、銭湯、二度湯)になったのも、中途半端になった理由の一つでしょう。つめ込みすぎました。

●書いた後で考え、悩む

不思議なもので、”既にあるものを編集する”と、面白いアイデアが浮かびやすい。

「クソつまんねぇ」歌詞でもとりあえず書いてみて、「俺(私)ならこうする」「あ、全く違う話思いついた」と自身に突っ込みを入れながら、試行錯誤してみてください。結果、原型が全く残らないケースもありますが、それはそれで。

★景色・シーンの見せ方とコツ★

作詞において、重要かつ楽しい部分です。

●1語で複数の景色を見せる

『思いどおりに作詞ができる本』のテクニック。

俳句の季語もそうですが、歌詞では文字数が限られているので、リスナーの”共通認識”などを上手く使い、少ない文字数で多くの情報を伝えたいです。

例えば、私が6話で書いた『ノコギリだから』。エピソードが夏だったので「夏」と書いても良いのですが、「入道雲」にすることで「夏、青い空、屋外、入道雲」と、複数の景色がイメージできます↓

顔をあげると 揺れた 背高(せいたか)入道雲
またワタシの 勝ちね 嬉しそうにはしゃぐ

ちゅうちょ無く 一人飛び込んで ブクブク シャボン玉
大の字で浮いて くじらかよ おちょけて吹いてみせる

『ノコギリだから』Aメロ。

「顔をあげると 揺れた 背高(せいたか)入道雲」と、後の歌詞を合わせて「水面」も見えます。

●カメラ位置を変える

同じく『思いどおりに作詞ができる本』のテクニック。

撮影するカメラの位置を変えることで、景色がリアルに。

例えば、私が7話で書いた『無彩色の雲』。カメラを登場人物がいる地上から、雨雲もしくはビルの屋上あたりに移動させ↓

ぽたり一粒 咲く 雨をはじく花
ツボミのまま 歩み止め 一人見上げるの

『無彩色の雲』サビ前のつなぎ

「花」は傘の比喩です。1行目で傘を差す人々を上から撮り、2行目で主人公が傘を差さず上(空)を見上げます。このときのカメラの位置は・・どっちもあり。

★その他作詞テクニック★

基本的なものをいくつか。

●「韻」を踏む(ライム)

(いん)は、無視できないテクニック。バラードだと微妙ですが、アップテンポの曲なら是非入れたい。

例えば、私が2話で書いた『Chemical Summer』。2話は「宮子の部屋だけ畳→乾燥剤→フローリングシートという昭和仕様。乾燥剤が水にぬれ発火する恐れ。さらに彼女の部屋は雨漏りする」というネタ回でした。これを元に、ネタ風のラップを↓

※「韻」と「言葉のリズムが気持ちいい」箇所を太文字に。

『Chemical Summer』

(※拍を細かくとるラップ)
暑い夏 いつもどおりに鳴る時計
いつもと違う 今日は夏休み

オキニのクマ おあいにくsummer
キミはここで留守番 今日は夏休み

(※拍をゆったり取り、メロディに乗せて)
吹き込む熱 揺れる空
踏み出し 噴出し 早く伝えなくちゃ

鳴らしたベル 揺れる my mind
202(two o two) chemistry 

riskと共に 生きる覚悟はある?

(※サビ)
君の隣 開けてびっくり
涙を流しちゃ ダメ命取り

君の隣 聞いてびっくり
そこに潜む罠 知らぬが仏

君の隣 触れてびっくり
思ってたカタさが 無いあた

君と2人 夢見る
それでも僕ら この場所で

よくわかる作詞の教科書に「母音と子音を入れ替える」という面白いテクニックがのっています。実際の曲なら、レキシの『かくれキリシタンゴ 〜Believe〜 feat.MC母上』が(歴史の)勉強になります。笑

●音や印象で「母音」「子音」を決める

私もそうですが、歌詞を”意味”より”音”で聴いている方、また実際に曲を歌うボーカルにとって重要なポイントです。

「母音 a(あ段)は音量が出せる」「母音 i(い段)は(笑ったときの口の形で)明るく強い」「”ぱぴぷぺぽ”はかわいい・ポップ」「濁音はインパクト」「さ行は爽やか」など基本的なこと以外にも、「u(う段)はセクシー」など自分なりのイメージを入れて作ると面白いです。

例えば、私も大好きな松田聖子の名曲『SWEET MEMORIES』のサビ。

しなった めだけが
 うつく 見えるのは何故かしら
 ぎさった 優しさも今は
 甘いきお Sweet memories

音もそうですが、映像で見ると「う段」がセクシー。

サビの印象(YouTubeに落ちてた映像の歌い方)として、語尾は「あ段」+ビブラートが多めで、前半は音量抑え気味の細かなビブラート。「うしなった」から3度、4度の跳躍チラ見せで期待させ「何故」で5度の跳躍+「え段」+「濁音」で一度盛り上げて。シャッフルと3連符が基本リズムですが、「うしなった」以降は3連符を崩して引き伸ばし、8分音符に近づけています。そして、再び「今は」と「あ段」で盛り上げ、「甘い」「記憶」とオクターブで音程と音量を徐々に下げ、「」と「」の音程は斜め下へのカーブで(目線も斜め下に、甘い記憶を回想し?)・・2番。

アイドル曲、曲調と歌詞から大人の曲として聴いてもピッタリの「う段」です。

●歌詞でリズムを作る

伴奏はそのままに、「歌詞でリズムを変えてみる」のも面白い。「1拍を3文字で割って、そこだけ3連符にする」ような使い方。歌はある意味ずっとソロなので、かなり遊べます。※楽器も、ソロパートは比較的自由にリズムを崩して遊べる。

●2つ以上の意味を持たせる(ダブルミーニング)

説明不要の、基本テクニック。「掛詞(かけことば)あるいは「なぞかけ」です。使いすぎると下品になりますが、見つけてテンションが上がると、使わずにはいられない。特に私のような初心者は。

例えば、私が6話で書いた『ノコギリだから』↓

ふんわり宙に舞い 落とされたキミに
ぼやけて見上げる キミのしたり顔

がっしり腕をつかみ 近づいた距離に
気付いたときは 落ちていたよ

『ノコギリだから』サビ

最後の「落ちていたよ」が、”プールに落ちる””恋に落ちる”で2つの意味を持たせています・・恥ずかしい。

ちなみに、今の”恥ずかしい”は、”説明する恥ずかしさ”と、”恋の恥ずかしさ”・・。笑

●「比喩」を法則性から見つける

「比喩」の素早い見つけ方、「法則性」

「男と女」なら、数字の「2」。
「対照的な2つのもの」を法則と考えます。

すると、「+と-」「右と左」「縦と横」「未来と過去」「光と闇」など、かなりのものが「2」に関係し、比喩表現の材料に。

以前紹介したAimerの『蝶々結び』は、「2つの羽(輪っか)」「男と女」「私とあなた」などを比喩。中島みゆきの『糸』なら、「縦糸と横糸」「男と女」「縦のつながり(男)と横のつながり(女)」など。

そこに「結ぶ」や「織り成す」など「男と女」にも使える言葉を加え、良い感じに。

連想などにもつながりますが、例えば「女性」から「美しいものは儚い」という法則(要素)を見つけたなら、「花」「花火」「流れ星」など、案外楽にキーワードを見つけられるはずです。

●「客観的」視点で書いてみる

客観的に、感情を抜いて書くことで、リスナーが妄想できる材料を提供します。

「ひだまりスケッチ最終話 時計の針は午前2時」のような感じ。主観的に書くと「ひだまりスケッチ最終話、見終わって喪失感ハンパない」です。

主観的な感情を抜き、「ん、どういう状況かな?」とリスナーにイメージさせることで、自然と歌詞に引き込む効果も期待できます。

●引き算で「読解」させる

「あえて書かない」、歌詞に限らず多くの作品で見かけるテクニック。

例えば、私が12話で書いた『ひだまりスケッチ』。

(※Aメロ)
描きそびれて過ぎた この町の季節
どこか まだ間に合うと 信じてた
でこぼこに 並ぶ12色
雑につめ 時計確かめてた

『ひだまりスケッチ』Aメロ前半

「でこぼこに 並ぶ12色」の歌詞で、「この子は12色タイプの色鉛筆を使っているのか。いやクレヨンかも。”でこぼこ”ってことは、絵が好きな子に違いない。短いのは何色だろう。「町」を描く子なら灰色かな、でもタイトルが”ひだまり”だから暖色系?でも「季節」だから・・」みたいに読んでくれるかな(ドキドキ)、と考えながら書きました。

続く「雑につめ」で「ガサツな子なのか。「描きそびれて過ぎた」も、この子にはよくあることなのかも。いや、「時計確かめてた」から慌ててるのか。でも何故「この町の季節」を描きたいんだろう」と歌詞に入り込んでもらい・・

(※サビ)
まっさらな スケッチブックに
お気に入りの線 迷わずに
真っ白な雲が 過ぎてく

短めの 色を選んで
消えていく それぞれの場所へ
なんかいいキモチ ひだまりの午後

『ひだまりスケッチ』サビ

サビ前に出てくる”君”と合わせて「短めの色を選んで 消えていくそれぞれの場所へ」から「「それぞれ」ということは、消えて(去って)いく「君」「短めの色」と同じくお気に入り(親友?恋人?)だったのかな。色鉛筆は消えても絵として残るけど、君は行ってしまう。いや、過ごした時間は心のスケッチブック(略)。でも、そんなに悲しんでないのは・・」あらためて書くと恥ずかしい。笑

歌詞では主人公の設定、その他いろんな情報をあえて書かないことで、逆に「妄想の余地」を増やしています。あとは・・上手く伝えられないので、”読解”してください。笑

●その他基本テク

・いらない文字を消去してスリムに。
助詞(てにをは)や修飾語など。無くても意味が伝わるなら、消して良し。

・言葉の「重複」は”幼く”見える。
「僕」や「君」など、歌詞中で何度も同じ言葉が出てくると、スマートに聴こえない場合も。逆にそれを利用して、”幼さ”を表現するのもあり。

・国語で習ったようなテクニックを使ってみる。
倒置法:歌いたい、君と。
体言止め:君のきれいな手。
リフレイン:前 前 前世
疑問系:素敵な歌詞を書けるかな。
二重否定:歌詞を書かずには いられない。
対比:おしゃべりな君 無口な僕

など。

★おまけテクニック・作り方★

面白いテクニックをいくつか。

●「言葉」であそぶ

言葉で遊んでみるのも面白いです。例えば、私が3話で書いた『白または青』↓

『白または青』

(※繰り返すのもアリ)
またまたまた はたまたはー

(※言葉遊びパート)
朝はたまたま 食パン
まだまだ2枚目 食パン

昼はたまたま 惣菜パン
またまた美味しい パンパン

(※変化。意味の薄い歌詞)
家には青虫 くもり空
さなぎの変態(脱皮) 変態先生
まさかお前も ブルータス
木炭デッサン 狙い撃ち

(※サビ)
またまたお空が 汚れてきたな
てるてる坊主は 負けないぞ

たまたま持ってた 練り消しパンで
炭色くもさん 消しちゃうぞ

ポタポタ跳ねる 天井のシミ
この部屋だけなの 知らないよ

まだまだ続く 6月の色
でもまた 描けるよね 白または青

3話のタイトルが「またはインド人」だったので、「またまた」「たまたま」「ポタポタ」など、1曲通して遊んでみました。

個人的に好きな言葉遊びは、寅さんの「チャラチャラ流れる御茶ノ水」。”お茶の水の”チャ”。”サラサラ”に近い擬音”チャラチャラ”。後に続く「粋な姐ちゃん立ちションベン」でみると”ちょろちょろ”にも近い。”ちゃ”が4回も登場する傑作。

●「答え」を焦らす

「これってどういう意味?」の答えを、少し焦らして書く。例えば、私が6話で書いた『ノコギリだから』↓

顔をあげると 揺れた 背高(せいたか)入道雲
またワタシの 勝ちね 嬉しそうにはしゃぐ

ちゅうちょ無く 一人飛び込んで ブクブク シャボン玉
大の字で浮いて くじらかよ おちょけて吹いてみせる

『ノコギリだから』ボク視点&ワタシ視点。

最初の2行で「夏」ということは伝わりますが、「揺れた」「ワタシの勝ち」って何だよ!と焦らします。

3行目の「飛び込んで」で、水(ここではプール)というヒントを提示。そこから、1行目の「顔をあげる」→水に顔をつけていた→「ワタシの勝ち」→”水中で息を止める勝負”という答えにたどり着く(はず)。

すると、「顔をあげると 揺れた 背高(せいたか)入道雲」は、水から顔を上げる→水面が揺れる→映っていた入道雲が揺れた・・のような焦らしテク。

ちなみにタイトルの「ノコギリ」は、ひだまりスケッチの登場人物ゆのが、(泳げない人を表す)「かなづち」と間違えて使っていた単語。この説明は、歌詞のどこにも書いていません(焦らしっぱなし)。

●文字数ではなくリズムで

文字数も大切ですが、実際の曲では「アンティシペーション」や「シンコペーション」、タイに3連符、付点音符などを使用するのが普通です。つまり、文字数よりリズムで考えた方が早い(曲も自作の場合)。

曲が既にある場合は、メロディを口ずさみながら。

例えば、2017年の人気アニメ『けものフレンズ』。OPの『ようこそジャパリパークへ』。アニメを見たくなる、大盛りの曲。

はじめのサビ部分。

「Welcome to ようこそジャパリパーク! 今日もドッタンバッタン大騒ぎ」

4小節+1拍。1拍(/)で区切ると、

Wel come/to /う こ/ジャ|○ パ/パー(ク)/○ きょ/う も|
ドッ/タン/バッ/タン|///|

(※「|」は小節の区切り、「○」は休符もしくは伸ばす箇所。)

「Wel」「よう」「ジャ」「パー」でドラムがアクセントを入れ、リズムを支配しています。「ようこそ」「ジャパリ」の部分は「タンタタ」のリズムなので、「4文字」という情報だけだと、リズムにノリきれません。「よーこそ」「ジャーパリ」です。

次の「高らかに 笑い笑えば フレンズ」「喧嘩して すっちゃかめっちゃかしても 仲良し」は、4小節でメロディもほぼ同じですが、文字数が大きく変わります。「すっちゃかめっちゃか」は16分音符で、「らえば」「しても」は付点8分入り。

文字数より、リズムで考えた方が楽。面白味のあるリズム(グルーヴ)表現も、生まれやすいでしょう。

曲が無い場合は、仮のメロディを想像するか、既存の曲をイメージして歌詞をはめてみてください。

例えば、私が書いた8話の『One more day』は、松田聖子『SWEET MEMORIES』をイメージして歌詞をはめました。見比べると類似点も。ただ、リズムをしばることになるので、意外と難しいです。

●替え歌

替え歌。遊び要素もあり楽しいので息抜きに是非。

例えば、私が11話で書いた『吉野屋’17』。以前『伊藤万理華の歌い方が好き』で書いた『まりっか’17(セブンのティーン)』の替え歌です↓

『吉野屋’17』(替え歌)

(※Aパート)
クロッキー モンキ 動物園(ごくっ)
逆立ちカバは 酔いやすい

かばんのなかみ 「えっキャベツ!?」(でも)
マヨで草食 模写モシャリ

(※Bパート)
黄金比率(守ってたって)
産休妄想(セクハラ・サンキュー)
残念美人(ギャップがいいの)
変態だけど art を teach

(※つなぎ)
吉野屋よしや 校長くるで
まともとちゃうな
へーんじん!

(※サビ)
まつっや すきっや なかっう よしや
よしっの やっ 好き っやから

吉野屋 好きって 言ってもいいの
よしっの やっ 好き っやから

(※アウトロ)
来年も 17歳
再来年も 17歳

「アニメ(基本11話)に関係するキーワードのみ」「原曲のテイストを崩さない」など自分ルールを追加したため、12曲の中で最も脳が熱くなりました。完成させると、不思議な満足感を得られます。

替え歌はおそらく、「作詞」より「脳トレ」です。笑

★曲の構成など★

さっと紹介。

●楽曲のパート構成を考える

2部構成「A+サビ」、3部構成「A+B+サビ」、その他。

・AAB
・ABA
・AABB
・AABA

・ABC
・AABC
・AABCC

など。

●Bメロで何かしら転換させる

Aメロ→Bメロ→サビとある場合、Bメロで「時間・場所・視点」など転換させてみると、良い感じになります。

●メロディの高音部分(普通サビ)に感情の沸点を

サビで一番盛り上がる箇所(の付近)に、感情の沸点1番伝えたい歌詞を持ってくると、お互いがリンクして良い感じに。

既存のアニソンだと、AKINO『創聖のアクエリオン』の「一万年と二千年前から愛してるなど。

★歌詞の分析★

既存曲の歌詞分析、解釈。
作曲もそうですが、作詞でもやはり経験値を短時間に最も稼げる方法ではないでしょうか。

曲だと、(私みたいな凡人は)一々楽器を引っ張り出さないと分析できない。つまり、家でないと難しい。しかし、歌詞なら歩きながらでも(歌詞を覚えているなら)自転車を漕ぎながらでも、いつでもどこでもできます。

また、同じ作詞家の歌詞を分析していると「この歌詞、相当気合入ってるな」や「あぁ、今回は曲が微妙だし歌詞も手抜いたんだな」など、作詞家のメンタルまで(好き勝手)分析するようになります。笑

私も何曲か分析したので(載せているのはほぼ坂道シリーズですが)、参考にしてください→「歌詞分析・解釈」。

作詞に使用した、おすすめの本!

いくつか作詞本を読みましたが、「めっちゃ良い!」と感じた考え方・テクニックは、ここでは紹介していません(※歌詞には使用しています)。著者に申し訳ないのと、例となる歌詞、著者の解説が無いと上手く伝わらないからです。

是非手にとって、プロのテクニックを吸収してみてください。6冊購入したうち、良かった4冊(+α)を紹介します。

【1冊ならこれ】

田口俊『思いどおりに作詞ができる本』

クリックでサイトへ

ユーミン(松任谷由実)の歌詞などを例にあげ、さまざまなテクニックを説明。「なるほどな」と手を打ちまくった1冊。

【幅を広げるなら】

遠藤幸三『作詞本~言葉が歌になる~』

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ほどよい熱量のある1冊。「こういう考え方はどうですか?」といったアプローチ。読み物です。

上田起士『よくわかる作詞の教科書 (ゼロからすぐに身につく本)』

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テクニックぎっしりな1冊。「まあ、知ってるかな」というものが半分以上を占めますが、”まとまってて便利”という点で、手元にあっても良い1冊。

阿久悠『作詞入門―阿久式ヒット・ソングの技法』

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著者は『津軽海峡・冬景色』『学園天国』などを書いた人。wikiによると、シングル売上枚数(2015年12月8日付デイリーランキングまで)が、1位の秋元康に次いで2位(6834.0万枚)。

読み物として面白い。「テクニック?自分で考えるぜ!」という気持ちにさせてくれる1冊。

【おまけ】

俵万智『短歌をよむ』

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12曲作詞後、「歌と言えば短歌か」とふと思い「短歌と言えば(小学生のとき朝の読書で読んだ)『サラダ記念日』だな」という浅い知識から、俵万智さんで検索し見つけたこの本。和歌の教養など一切無い私でも、参考にできる点がいくつもありました・・ので、(現代)短歌も作ってみました。笑

「はじめての 短歌ぺたぺた 言葉貼る 予測させない 変換できない」

「親指を 浮かせフリフリ 考え中 デコレートした 私のきもち」

「自分ルールを足してみて 掛けてみて 引いてみてたら 誰もとかない」

作って確信しましたが、短歌を広げれば歌詞になります。万智さんのいう「”あっ”という心の”揺れ”」からテーマを見つけ、それを広げる。短いので「何を表現したいのか」が明確になり、余分な情報を削る練習にもなります。

以上です。
作詞って、楽しい。
ありがとうございました。

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