丸くて、重くて、かわいい、あいつ。
レスポールの特徴!
ああ・・このマホガニーとメイプルのレスポール独特の重さ・・。このハムバッキング・ピックアップの甘くひずんだ、倍音の多いやわらかい音・・。
テレビアニメ『けいおん!』第5話「顧問!」 / 山中さわ子より
レスポールは、Gibson(ギブソン)が製造・販売を行っているエレキギターです。本来は、ギタリストである「Les Paul」のアーティスト・モデル。日本においては、フェンダーのストラトキャスターと、人気を二分するエレキギターではないでしょうか。
「やっぱりレスポールは、歪みが最高だよねー」
アンプを歪ませて演奏する、ロック系のジャンルで大活躍するレスポール。ですが、まずは歪ませないクリーン・トーンで、アルペジオ(単音)を弾いてみてください。ギター本体の重さも関係しているのか、他のGibson系エレキでは味わえない音に、(心が)震えます。
また、これまで誰からも共感を得たことがないのですが、「ギブソンのレスポールに近い音は、フェンダーのテレキャスターだ!」と思うのです。「いや、真逆の音じゃねぇか!」という意見はわかります。「お前が勝手に音(PU、音作り)を寄せてんだろ」という指摘も認めます。
それでも、響き、鳴り方、密度、音の雰囲気がテレキャスっぽい。99%の人が「こいつ何言ってんだ?」と思うでしょうが、理解してくれる人もどこかにいるはず。一度すべての先入観を横に置いて、聴いてみてください。
Gibson以外はレスポール・タイプと呼びますが、面倒なので以降省略します。
○ボディ
内部に音を響かせるための空洞を持たない、ソリッド・ボディ。溝を掘ってネックを接着させるセット・ネック。
ひょうたんのような丸っこいボディ。ハムバッカー2基に、ノブが4つも付いたイカツさ。それを中和する丸みのあるボディ表面、小さな羽のように浮かぶピックガード。
かっこよくて、かわいいギターです。
○ハイフレットの弾きやすさ
”初レスポール”の方に気をつけて欲しいのが、「ハイフレットが弾きづらい」ということ。
ボディ形状はシングル・カッタウェイという、片側だけカットされたタイプなのですが、注目すべきはネックの裏です。
↓の画像をみてください。
「レスポール」
「SG」
上の「レスポール」は、15フレット辺り(右から6個目の白いポジション・マーク)から、ネックの裏が太くなっています。親指を後ろに回しづらいので、ハイフレットの演奏は大変そう(弾き方のコツはあります)。対するギブソンの「SG」は、ハイフレットも弾きやすそう。
「レスポールって弾きにくいのか・・」と、心に迷いが生じた方。「それでも俺(私)は、レスポールが好きだ!」という想いを忘れないでください。レスポールをガンガン弾きこなしているギタリストは世界中にいます。
なんなら、「ギターソロでネックの”先っちょ(根元)”しか使わないアイツ等より、俺(私)はもっとギター(レスポール)の良さを生かしたフレージングを・・」と、考えても構いません。
これだけは、言っておきたい。
「オールマイティなエレキギターなど、無い!」
○音
ギブソンには「P-90」という素晴らしいシングルコイルが存在するのですが、現在レスポールのイメージとして定着しているのは、ハムバッカー・ピックアップです。
暖かくてパワーのあるハムバッカー・サウンド。シングルコイルに比べてピッキングの強弱を表現しにくいのですが、そのおかげで、安定したアルペジオ・サウンドなどが得やすい。”コンプ感”があるとも考えられます。
クリーンで弾いたときの(弾いている本人が感じる)響きは、めちゃくちゃ気持ち良い。
個人的には、シングルコイルよりも音作りが簡単。アンプが変わっても、いつもの(自分好みの)音を作りやすい。逆に考えると、「アンプに左右されないくらい、音の特徴が出る」と言えるかもしれません。
○歪み
ハムバッカーは、アンプを歪ませてもシングルコイルほどノイズを拾いません。
ギター雑誌などに「アンプはこのくらいまで歪ませて・・」という図が載っていた場合、大体シングルコイルを基準に書かれています。レスポール一筋、クランチ大好きな方は、「ゲインのつまみって、こんなに必要なのか?」と思ったことがあるかもしれません。ツマミを回す量に注意してください。
ちなみに、一人で演奏しているときは良いのですが、バンドなど他の楽器(特にベース)と合わせて演奏する場合、歪ませれば歪ませるほど、音は埋もれていきます。1音1音の分離感が消え、シャリシャリと軽い音に。最も表現したい太い歪みは、ベースアンプに持っていかれます。
○ピックアップ
ハムバッカー
ノイズが少なく暖かみのあるクリーンと、図太くロックな歪みを作れるハムバッカーPU。レスポールでは前後2基搭載されたモデルが一般的で、フロントPU、フロントとリアのミックス、リアPUと3種類の音をスイッチで切り替えます。
コントロール・ノブは、フロント・ボリューム、フロント・トーン、リア・ボリューム、リア・トーンの4つ。1つのピックアップに対して、”音量”と”音色”両方の調整ができるのは、地味に便利です。
シングルコイル(P-90)
「P-90」という”機種名レベル”で有名な、ギブソン社のシングルコイルPU。こちらを搭載したモデル(レスポール・ジュニア、レスポール・スペシャルなど)も人気です。
○テンションとネック
フェンダー系のギターにロングスケール(647.7mm)が多いのに対して、ギブソン系はミディアムスケール(628.65mm)のネックが普通。
指板はローズウッドが一般的。高級モデルだと、エボニー(最近だと人工素材のリッチライト)が使用されることも。
弦長が短くなると張力(テンション)が下がるので、ロングスケール系のギターよりも太い弦を張って調整する人もいます。指板の幅は、フェンダー系より若干広いことが多いです。
○種類
種類が多いので、少しだけ紹介します。
・LesPaul Standard(レスポール・スタンダード)
レスポールといったらコレ。
後ろにマホガニー、表面にメイプルを貼り付けたボディ。このボディあってのサスティーン。あの重さ。塗装やバインディング(縁飾り)でわかりづらいですが、木材のつなぎ目がわかりやすい機種もあると思います。
2基のハムバッカー・ピックアップを搭載したモデルが一般的。
・LesPaul Custom(レスポール・カスタム)
レスポール・スタンダードの上位モデル。高級感漂う見た目通り、こだわりのパーツが使用されています。
・LesPaul Studio(レスポール・スタジオ)
レスポール・スタンダードを基準に、価格を抑えたモデル。バインディング(縁飾り)などの装飾をカット、木材のグレードを下げて低価格を実現。音や弾き心地はほとんど変わらず、見た目のシンプルさも相まって人気です。
・LesPaul Jr.(レスポール・ジュニア)
レスポールの廉価版。ギブソンが開発したシングルコイル・ピックアップ「P-90」を搭載。Jr.に搭載されているのは、ボディにマウントするため左右に耳が付いているドッグイヤー・タイプ。
フェンダーのシングルコイルより太くて丸く、ハムバッカーより鋭い音。見た目のかわいさも特徴。
・LesPaul Special(レスポール・スペシャル)
バンプオブチキンのボーカル、藤原基央さんも使用しているギターです。バンプ好きなら「P-90=ミックス・ポジション(センター)のあの音・・」というイメージの人も多いはず。
レスポール・ジュニアのピックアップ(P-90)が、2基にパワーアップしたモデル。ボディ表面はフラット。
・その他レスポール
・レスポール・デラックス
・レスポール・パーソナル / プロフェッショナル
・レスポール・レコーディング
・レスポール・クラシック
・レスポール・トラディショナル
まだありますので、wikiなどで調べてみてください。
○その他
ヘッドの形状が、フェンダー系とは異なります。両サイドに3つずつのペグと、指板に対して角度が後ろについたヘッド。
金属パーツ(サドル)を弦の張力で押さえているタイプもあるため、弦交換のときに、落として無くさないよう気をつけてください。
レスポールの選び方!
手短に。各ギターに共通する基本的な違い(指板Rやネック幅など)は↓にて。
●ピックアップとコイル・タップ(スプリット)
まずは、ハムバッカーかP-90(シングルコイル)の選択です。
「レスポールの太くて暖かい音、ロックな歪みが欲しい!」ならハムバッカー。「P-90が欲しい!」方はそちらを。
最近は、コイルタップ(スプリット)機能を搭載したモデルも増えてきました。
タップスイッチを使用して、ハムバッカーの片方のコイルを鳴らないようにし、「シングルコイル(のような状態)」と「ハムバッカー」を切り替えることができます(※実際の内部構造は知りません)。
●重さ
「重い、だがそれが良い」
と自分に言い聞かせていた時期が、私にもありました。
他のエレキギターと比べて1kg程度の違いです。
「あの重さだからこそ、レスポールの音がするんだ」と、信じている人もいます。「重いのはちょっと・・」という方は、”薄くて軽い”レスポールも検討してみてください。
●色と模様
ボディの色と模様です。
色や木目(杢目)が気に入ったものを。
一大楽器ブームを巻き起こした、テレビアニメ『けいおん!』。アニメ放送当時、ちょうどレスポールタイプのチェリーサンバーストを持っていたので「これは啓示だな」と錯覚し(笑)、急にハムバッカーの使用率が上がりました。
●その他
クラシックなレスポール・スペシャル・タイプなど、オクターブ・チューニングが合わない、バー・ブリッジが搭載されたモデルもあります。チューン・O・マチック・ブリッジとストップ・テイルピースを1つにまとめた、バダス・スタイルへのパーツ交換も検討してみてください。
おすすめのレスポール!
レスポールは「かっこいい(かわいい)の基準」が、人によってかなり異なります。種類だけでなく、色や模様で全くイメージが変わる、おもしろいギターです。
「レスポールはGibsonでなきゃ!」という方は、是非ギブソンを。「他のメーカーでも良いのある?」という方、あります!数あるメーカーから、自分に合う1本を探してください。
シングルコイルでは、5万円あたりまでは「ピックアップの交換」をおすすめしていましたが、ハムバッカーの5万円だと(シングルコイルに比べて)良い音で鳴ってくれる印象。”良い音”の基準は「大きなアンプに繋いでも、耐えられる音かどうか」です。
まずはエピフォンから紹介。次に本家ギブソン。以降、思いついた順番で紹介します。
【Epiphone】
かつてギブソン社と競い合ったエピフォン。歴史は古く、世代や好きなジャンルによって、イメージが大きく異なるブランド。現在はギブソン社のブランドとして、ギブソン製品の安価モデルを販売していることでも有名。
ヘッド形状は、ギブソンのものと異なります。
低価格のものなら1万円台からありますが、ここでは個人的に気になる「Les Paul Standard Plustop PRO」を紹介します。
☆Epiphone Les Paul Standard Plustop PRO
(公式ページで詳細を確認)
税抜45,000~52,000円程度(調査時)
音と価格のバランスが良い。高品質の素材を使用したピックアップ。コイル・タップ機能搭載で、シングル/ハムの切り替えが可能。カラーバリエーションも豊富で、音さえ気に入れば(PU交換しないで良いので)コスパが良いです!
※左利き用もあります。
(動画:OfficialEpiphoneさん)
☆Epiphone Les Paul Custom PRO
(公式ページで詳細を確認)
税抜50,000~57,000円程度(調査時)
漂う高級感。ピックアップにこだわったPROシリーズ。パーツの素材にこだわり、現代的なコイル・タップ機能も搭載。レスポール・カスタムをこの価格で。
※左利き用あります。
(動画:Dawsons Musicさん)
【Gibson】
レスポールの本家、ギブソン。レスポール以外にも、「ES-335」「フライングV」「エクスプローラー」「SG」など、数多くの人気定番モデルを輩出してきたメーカー。
レギュラー・ラインを製造するGibson USA、職人によるカスタム、Gibson Custom、ESシリーズに力をいれるGibson Memphisの3つのブランドが存在します。フェンダーと同じく、数々のギタリストに今も愛され続ける、老舗楽器メーカーです。
※シリーズは時代によって変わりますので、最新モデルは公式サイトなどでチェックしてみてください。
☆Les Paul Standard
(Les Paul Standard 2015)
税抜250,000~300,000円程度(調査時)
何と言ってもレスポール・スタンダード。製造された年代によって、細かな仕様が異なります。一生もののギター、納得のいく1本を。
Gibsonレスポール
(動画:Reidys Home Of Musicさん)
【Burny (Fernandes)】
バーニーは、フェルナンデスのギブソン系ブランド。X JAPANで有名なhide、L’Arc〜en〜Cielのkenをはじめ、多くのギタリストとのコラボレーションで有名なフェルナンデス。実はギブソンのコピーモデルを中心に販売している「Burny」も、人気があります。
☆RLG-55
(公式ページで詳細を確認)
税抜38,000~45,000円程度(調査時)
レスポール・スタンダード・タイプ。5万円でもお釣りがきます。少しお金に余裕がある方は、ピックアップを自分の好きな音に交換してみてください。きっと、お気に入りの1本に変身します。シングルコイルを搭載したモデルも。
レスポール・カスタム・タイプは「RLC-55」です。
【Tokai(トーカイ)】
トーカイは、静岡県にある東海楽器製造株式会社(東海楽器)の自社ブランド。OEMとしても有名で、有名ブランド(最近だとシェクター)を数多く手掛けていたことで知られています。国内メーカーでGibson系コピーモデルと言えば、トーカイを思い浮かべる人も少なくありません。
レスポール本家のギブソン社から「お宅の高級モデル、ウチのより良いらしいね」という理由でクレームがついたとか(wiki調べ)。
☆Vintage Series
(公式ページで詳細を確認)
税抜77,000~88,000円程度(調査時)
トーカイが手掛けるヴィンテージ・シリーズ。日本国内での加工・組み立て。シングルコイルを搭載したモデルもあります。
ちなみに、同価格帯だと「SEBモデル」も人気。木材の振動特性を生かした、3層ラミネート構造による「Sound Effect Body」。音の素早い立ち上がり、レスポンス、クリアで抜けの良いサウンド、ロングサスティーン。技術が詰まったSEBシリーズ。
☆Premium Series
(公式ページで詳細を確認)
税抜126,000~146,000円程度(調査時)
これがうわさのシリーズ最高峰。国産レスポールと言えばトーカイ。あらゆるこだわりを注ぎ込んだ1本。一見の価値、十分にあります。
Tokaiレスポール
【その他】
・EDWARDSのTraditional Series。(8万円~10万円)
オーダーメイドで有名な、国内メーカー「イーエスピー(ESP)」のブランド。ESPは幅広いラインナップと、シグネチャー・モデルで人気。トラディショナル・シリーズは、ダンカン製PUとオリジナルPUから選択。
以上です。
皆さまが、素敵なレスポールに出会えますように。
ありがとうございました。
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