前回の「ギターの選び方」に引き続き、ギターの種類について説明します。1本目の方はもちろん、2本目、3本目をお探しの方も、是非参考にしてください。
※エレキギターとアコースティックギターの違いは「エレキとアコギ」で説明しています。
エレキギターの種類と違い!
定番のギターをまとめました。
ギター初心者の方は、見た目や音以外にも、ネックの触り心地、座って構えたときのしっくり感、立ったときの見た目、重さなど全体的に見て「これ良さそう」と感じた1本を選んでください。
さて、「ストラト・キャスター」や「レスポール」という名前を、既に聞いたことがある方もいらっしゃるかと思います。実は、「ストラト」はフェンダー社の登録商標。「レスポール」はギブソン社の登録商標なので、それ以外の会社から出ている同じ形のギターは「ストラト・キャスター・タイプ」「レスポール・タイプ」などと表記されています。
「俺(私)は、本物のストラトが欲しい!」という方は、是非フェンダー社のモノを。
「そういうことには、こだわらないの」という方は、他のメーカーからも良いものがたくさん出ていますので、そちらも是非。
そして、以後めんどくさいので、ストラト・タイプは全て、ストラト。レスポール・タイプも全てレスポールとします。
それでは見ていきましょう。
☆ストラトキャスター
(Fender Standard Stratocaster)
定番中の定番。
フェンダー社から発売された、エレキギターです。
シングルコイル・ピックアップが3基搭載されており、明るく歯切れの良い音。アタック音からノイズから色々拾ってくれるので、強弱や歪みなどの”ニュアンス”をコントロールしやすいのですが、実力がモロに反映されるギターとも言えます。ネックはロングスケール。
「フロント」「センター」「リア」に取り付けられた3つのシングルコイル・ピックアップの音。そして、「フロント+センター」「センター+リア」と混ぜて作る2種類の「ハーフトーン」。この計5つの音を、スイッチの切り替えで表現できます。
ピックアップの組み合わせも「SSS」「SSH」「HH or HHH」など、カスタマイズの幅が広いのも魅力(※S=シングルコイル、H=ハムバッカー)。
シングルとハムを切り替える「タップ機能」を搭載したモデル(改造)など、「ギターでできそうなこと」は大体できます。
トレモロ・アームを使って、すんごいビブラートをかけられるのも特徴の一つ。ですが、きちんと調整をしないとチューニングが狂います。
音はこんな感じ↓
(動画:DV247 TVさん)
ストラトを使うギタリストはたくさんいます。日本のギタリストだと、私も大好きなL’Arc〜en〜CielのKenなど。ギターソロだけでなく、バッキングでの存在感。
ストラト選びに関して、以下の記事も参考にしてください。
☆レスポール
(Gibson Les Paul Standard)
ストラトと同じく、定番中の定番。
ギブソン社から発売されたモデルです。
ハムバッカー・ピックアップを2基搭載したモデルが一般的。シングルコイルに比べてノイズが少なく、中低域が強調され、歪ませると図太いロックなサウンド。
最近はハムとシングルを切り替える「コイル・タップ(スプリット)」を搭載したモデルもあり、1本で幅広い音作りが可能に。
ネックはミディアムスケールが一般的ですが、ボディが大きいので全長はストラトとほぼ同じか、少し大きい機種もあります。ナット幅(ネック幅)がストラトに比べて広いものが多く、全体の重量は重い。
音はこんな感じ↓
(動画:Bonedo Synthesizersさん)
私の世代で「レスポール」と言えば、BUMP OF CHICKENのボーカル藤原基央さんが有名。彼のピックアップはP-90(シングルコイル)のミックスで固定。レスポール・スペシャルです。少し前だとX JAPANのPATA。あとは日本人誰もが知るB’zの松本さん。
そして、一大レスポールブームを巻き起こし、同時に一部のレスポール(チェリーサンバースト)プレイヤーから煙たがられた『けいおん!』の平沢唯。私も当時レスポールタイプのチェリーサンバーストを使っていましたが、そりゃもう色々言われました。唯ちゃんブーム以前と以後の変化は、すごかった。もう持ってるだけでアニメの話になり・・よかったです!笑
レスポール選びに関して、以下の記事も参考にしてください。
☆テレキャスター
(Fender Standard Telecaster)
定番。
1949年頃、フェンダー社から「エスクワイヤー」の名前で発売されたギターで「ブロードキャスター」→現在の「テレキャスター」へと変化したらしい(wiki調べ)。
それまでの”制作に手間がかかるギター”から、大量生産の時代へと移ります。加工しやすいパーツ(空洞の無いソリッド・ボディ)、大量生産に向く製法(ボルトオン方式)のおかげで、より安価で、より多くの人がギターを手にすることとなりました。
現在の一般的なテレキャスターには、2種類のピックアップが搭載されています。フロント部分には甘くて丸い音色のPU、リア部分には力(出力)のあるPU。シングルコイルの特徴であり、テレキャスらしいアタック音を得られるのはリアPUですが、フロントとリアの音色の差を生かしたハーフトーンも良い音。
フロントPUにハムバッカーを搭載し、よりパワフルにしたモデルも存在します。
前後で音量に差がある場合は、PUの高さを調整して揃えましょう。ネックはロングスケール。
そして、テレキャス購入時に”必ず”意識したいのが「ブリッジ・サドル」です。
まず、テレキャス本来の3Wayタイプがこれ。
ただし、これだとオクターブチューニングが合いません。
そこで、見た目はできるだけそのままで、何とかしようとしたのがこれ↓
サドルを斜めに傾けたものや、段差を付けたもの。サイズが合えば、自分で取り外してネジで簡単に付けることができます。
そして、元祖テレキャスらしい見た目は諦めて、実用性に目を向けた6wayタイプ↓
ブリッジ・サドルは、テレキャス選びで悩む部分。購入後にパーツを変更できるので、チューニングが気になり始めたら検討してみてください。
さて、テレキャスの見た目は「好き or 嫌い」の、両極端に意見が分かれることが多いです。私個人としては”気取らず目立ち過ぎない見た目”が大好き。見た目のシンプルさもあって、ボーカル・ギターが好んで使用しているイメージですが、リード・ギターでも大活躍します。
音はこんな感じ↓
(動画:Musician’s Friendさん)
テレキャス選びに関して、以下の記事も参考にしてください。
☆SG
(Gibson Standard Historic SG)
ギブソン社から発売されたモデル。
「SG」はSolid Guitarの略称とのこと。ピックアップは、2基のハムバッカー・ピックアップを搭載。ネックはミディアムスケールです。
まず、手にしてみて驚くのが軽さ。イカつい見た目とは裏腹に、薄くてプレイヤーに優しいボディ。音は、ハムバッカーなので中低音もありますが、比較的軽く、高音の音の抜けも悪くありません。
SGのもう一つの特徴は、ハイフレット(15f以降)が弾きやすいこと。横から見るとわかりやすいのですが、こんな感じで↓
ハイフレットでもボディが邪魔をせず、ネックの裏側に親指が回せるので、20フレット辺りでも弾きやすいです。
ですが、これらのメリットと引き換えに、SGには「ヘッド落ち」という悩みがつきもの。ネックの接続部・ボディの軽さによるバランスの関係で、弾いている途中にヘッドが下がります。ゆえに、ネックを支えながら弾く必要がありますが、ある意味これが”SGの味”でもあります。
音はこんな感じ↓
(動画:chicagomusicexchangeさん)
・Gibson(6万円~〇十万円)
ギブソンは、「レスポール」「ES-335」「フライングV」「エクスプローラー」「SG」など、数多くの人気モデルを輩出するメーカー。フェンダーと同じく、数々のギタリストに愛されてきた老舗ブランドです。
・Epiphone(3万円以下)
エピフォンは現在、ギブソン社傘下のブランドでギブソン製品の安価モデルなどを提供しています。
・BURNY(5万円以下)
バーニーは、フェルナンデスのギブソン系ブランド。安価モデルの完成度にも定評があります。
・トーカイ(Tokai)(5万円以下)
ギブソン系のコピーモデルで有名なトーカイ。
・EDWARDS(10万円以下)
オーダーメイドで有名な、国内メーカー「イーエスピー(ESP)」のブランド。幅広いラインナップと、シグネチャーモデルで人気。
☆ジャズマスター
(Fender American Vintage ’65 Jazzmaster)
フェンダー社から発売されたモデル。
元々は「ジャズにも対応できるギターを作ろう」ということで「ジャズマスター」ができたとのこと(wiki調べ)。左右非対称のボディシェイプ(オフセットウエスト)で、立っても、座って弾いても安定します。
前後2基のピックアップは、ストラトなどのシングルコイルよりサイズが大きく、太く甘い音が特徴的。音色を瞬時に切り替えられる「プリッセットスイッチ」を搭載。ネックはロングスケールです。
トレモロユニットには、「フローティング・トレモロ」を搭載し、ブリッジを固定してテイルピースを動かすことで、チューニングが狂いにくくなりました。
そして、ジャズマスターの欠点、”弦落ち”。
弾いている間に、弦がサドルから外れてしまうことがあります。
低めの弦高セッティングにしたり、細い(テンションの低い)弦を使用すると、サドルの溝から外れやすくなります。
対策としては、「バズ・ストップ・バー」を使って弦のテンションを上げる↓
「ムスタングのサドルに交換する」方法も一般的。
メーカーによっては、ジャズマスターやジャガーに付ける為(弦落ちさせない為)に開発しているところもありますので、いろいろ探してみてください。バズ・ストップ・バーとの合わせ技も有効。
ネジ穴をあけて「別のブリッジに交換」という選択肢もあります。
音はこんな感じ↓
(動画:MusicStoreLive.comさん)
・Fender(8万円~〇十万円)
・Squier(5万円以下)
・Bacchus(5万円以下)
☆ジャガー
(Fender American Vintage ’65 Jaguar)
フェンダー社から発売されたモデル。
1962年に、フェンダー社の”最高級機種”として発売されたそう(wiki調べ)。見た目はジャズマスターと似ていますが、ネックがショートスケールで、スイッチ類などの細部も少し異なっています。
前後2基のピックアップは、ジャズマスターの音色とは違いストラトよりもシャープで、歯切れの良い音。ジャズマスターと同じく「弦落ち」するので、同じような対策をおすすめします。
音はこんな感じ↓
(動画:MusicStoreLive.comさん)
・Fender(10万円~〇十万円)
・Squier(5万円以下)
☆ムスタング
(Fender Japan 69 Reissue Mustang Guitar Mg69/mh CAR)
フェンダー社から発売されたモデル。
ネックはショートスケールです。
前後2基のピックアップ切り替えは、on/off/on式のスライドスイッチを使用し、表現できる音色は4種類。まずは、普通の「フロント」と「リア」の音。そして、スイッチが前後同じ方向で「on」の場合は通常の「ハーフトーン」。前後が逆方向で「on」の場合は「フェイズ・アウト・サウンド(アウト・オブ・フェイズ・サウンド)」となり、中低音のない独特な軽い音色が得られます。計4種類の音を出せるのがムスタングの特徴です。
搭載されている「ダイナミックトレモロ」は大胆なアーミングを可能にする一方、大胆なチューニングのズレを引き起こすことでも有名。
名前の通り”じゃじゃ馬”のようなギターです。
音はこんな感じ↓
(動画:fatguitargggさん)
日本では、Charが愛用していることで有名。もちろん、『けいおん!』の”あずにゃん”こと中野梓が愛用する「むったん」も有名。
・Fender(5万円~〇十万円)
・Squier(5万円以下)
☆フライングV
(Gibson USA Flying V 120)
ギブソン社から発売されたモデル。
変形ギターの先駆け的存在で、武器としても使えそうなフォルムは座って弾くのが困難。「いいから立って弾け」と言わんばかりのロックなデザイン。ケースも使い回しを許さない、ロックな仕様。
ピックアップには2基のハムバッカー・ピックアップを搭載。中域の目立つ、抜けの良い甘いサウンドが特徴的。SG同様に「ヘッド落ち」が悩みの一つ。
音はこんな感じ↓
(動画:Dawsons Musicさん)
・Gibson(10万円~〇十万円)
・トーカイ(Tokai)(5万円以下)
・EDWARDS(8万円前後)
☆フルアコースティック
(Gibson Memphis 1959 ES-175D)
フルアコースティックギター(フルアコ)はアコギと同様に、ボディ内部が空洞になっています。生音の鳴りが良い反面、音量を上げるとハウリングが起きやすい。フルアコの多くは「アーチトップギター」に属します。
内部空洞の反響を生かした、丸みのある音が特徴。「L-5」や「ES-175」などの機種が有名です。
ジャズギタリストは大体フルアコか、次に紹介するセミアコ。そういう理由もあってか、ポピュラーミュージックでFホール(fの形の開口部)ギターを使うと、「こ・・こいつはできるに違いない」という目で見られます。笑
音はこんな感じ↓
(動画:Reverb.comさん)
☆セミアコースティック
(Gibson ES-335 Sixties Cherry)
セミアコースティックギター(セミアコ)はフルアコに比べてボディが薄く、内部の空洞部分も狭いです。生音の鳴りはそれほど大きくないですが、アンプでの表現の幅はフルアコに勝ります。ハウリングも起こりにくい。
ボディ内部にはセンターブロック(胴木)と呼ばれる木材があり、弦からの振動をソリッドギターのように伝達、アンプから出す音色に影響を与えます。ソリッドボディとホロウボディの良いとこ取りを目指したギター。「ES-335」が有名。
音はこんな感じ↓
(動画:Gibson ES-335 Demoさん)
アコースティックギターの種類と違い!
ボディ内部で音を反響させるタイプのギターは、全てアコースティックギターと考えて良いと思います。その中で、ピックアップを搭載していないものは以下の2つ。
☆クラシックギター(ガットギター、スパニッシュギター)
(ヤマハGC82S)
クラシックギター(クラギ)は、ガット・ギター、スパニッシュ・ギターとも言われ(用途によって作りが違う)、主にナイロン弦を使用する電気を使わないギターです。
スチール弦を使用するアコギに比べて優しい音色で、使う弦の素材によっても音色は変化します。ナイロン弦は振幅が大きい為、アコギに比べてネックの幅が広いのも特徴。
音はこんな感じ↓
(動画:Musician’s Friendさん)
☆フォークギター(アコギ、スチール弦アコースティックギター)
(Martin D-28)
最近は、”フォークギター”よりも”アコースティックギター(アコギ)”と呼ばれることが多く、生音を響かせるアコースティックギターというカテゴリの中の、アコースティックギター(フォークギター)ということになります。アコギと言えば、大体このタイプを指します。
ホモ・サピエンス・サピエンスみたいな・・違うか。笑
アコギは主にスチール弦を使用し、あのアコギらしいアタック音が特徴。クラギに比べてネックの幅は狭く、ピックガードが付いているのも特徴の一つ。
音はこんな感じです。
(動画:Reverb.comさん)
アコギ選びに関しては、以下の記事も参考にしてください。
その他のギター!
☆エレクトリックアコースティックギター(エレアコ)
(ヤマハ A3R)
エレクトリックアコースティックギター(エレアコ)はアコギにピックアップを取り付けたギターで、アンプを通して音を出すことができます。もちろん生音も鳴りますが、ハウリング対策のためアコギに比べて”鳴り”を抑えている機種も多いです。その為、アコギに比べて小さいサイズの機種もあり、扱いやすいといったメリットもあります。
アコギだとマイクで音を拾ったり、別売りのピックアップを取り付けたりして電気的に大きな音を出しますが、エレアコはシールドでアンプと繋げば良いだけなので楽です。
音はこんな感じ↓
(動画:Acoustic Guitar Magazineさん)
☆サイレントギター
(ヤマハ SLG200S)
サイレントギターは、その名の通り消音性に優れたギターです。練習用のギターで、アコースティックギターの音を再現したモデルが多く、アンプとヘッドフォンを使用すれば夜の練習でも安心。
最近のものは音のクオリティが向上し、ライブや宅録において「アコギ以上のパフォーマンスを発揮する」機種も。
音はこんな感じ↓
(動画:yamahacorporationさん)
サイレントギター選びに関して、以下の記事も参考にしてください。
最後に。
「1万円前後の初心者セット」は、正直おすすめしません。理由は「5万円のギターをオススメする理由!」に書かせていただきました。
最初の1本は”良いもの”でなくても構いません。しかし”悪いもの”を選ぶ必要もありません。
皆様が、最高の一本に出会えますように。
ありがとうございました。
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