独学ギターといえば、教則本。
「買ってよかった」と感じた本を紹介します。
目次
※全くのギター初心者の方は「ギター入門書」から始めるのもアリです。入門系の本だと、身近なギター経験者から譲ってもらえる可能性も。
それではいきましょう。
【ギターの基礎系】
一生使えるギター教則本
渡辺具義『一生使えるギター基礎トレ本 ギタリストのためのハノン』
この本を最初に紹介した理由は「これ1冊で大体のことがわかる」から。「ギタリストのためのハノン」の名にふさわしいボリューム。
はじめに「ギター指板を5分割する」考え方を学びます(CAGED)。次に左手の運指練習。左手の指にそれぞれ「人(1)、中(2)、薬(3)、小(4)」と数字を割り当て、楽譜にそって弾き、指のバタつきを抑えるトレーニング。続いて、ストレッチを兼ねた指の独立練習、ハンマーオン/プルオフ練習。
右手のピッキング練習も、ギター初心者でも行える簡単なフレーズからはじめます。アルペジオ、ストローク、各種音符(休符)のピッキング、単音/コードカッティングなどを練習。
両手の基本的なエクササイズが終わると、いよいよ本格的なトレーニング。CAGEDポジション別に、スケール、コードなどを徹底的に(※「Aポジションのメジャースケール・3度シーケンス」でまるまる1ページ使うペースで)練習します。習得すれば、弾きたい音を瞬時に見つけられるようになるでしょう。
「ギター基礎トレ本」の名に相応しい一冊。体だけでなく頭も使い、ギター指板を把握する、おすすめの教則本です。同じ著者の本を5冊ほど買いましたが、1冊目には本書がオススメ。
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「ギターの基礎系」、その他教則本を紹介します。
・いちむらまさき『100個のフレーズを弾くだけで飛躍的にギターが上達する本』
「偏ったジャンルだけ弾いている」「基本的な奏法をフレーズ付きで知りたい」「ギターのフレーズって、何がどうなってんのかよくわからない」という方にとって、参考になる1冊。
ギター初心者の方もそうですが「そろそろオリジナル・フレーズ(アレンジ)を作りたい」という中級者?の方にもおすすめ。
100個のフレーズの中に、ギターにおける基本的な奏法、主要ジャンルで耳にするフレーズ、応用の利きそうなフレーズが入っているので、「ギターという楽器でできる奏法を一通り知る」目的で、手にとって損は無いかと思います。
読者レビューにある「フレーズがカッコ悪い」というのは否定しませんが、この本のポイントはそこではないと思います。割り切って練習してみてください。
【音楽理論系】
ギターを使って音楽理論を学ぶ
養父貴『ギターで覚える音楽理論 確信を持ってプレイするために』
「超初歩的な理論は知っている」という方におすすめ。全くの音楽初心者でも読めますが、初歩的な用語の説明は端的に書かれています。「めちゃめちゃ簡単に教えて欲しい」という方には、次に紹介する『最後まで読み通せる音楽理論の本』をおすすめします。
タイトルの”ギターで覚える音楽理論”は、「説明にギター指板(ダイアグラム、TAB譜)も使用している」程度で考えてください。目からうろこが落ちるような「ギター指板に隠された秘密!」的なことは期待なさらず。ただし、ギターなど弦楽器に慣れ親しんでいない方は「ピアノには無い、弦楽器の強み」を確認できるかもしれません。
間違いない1冊ですが「音楽理論を学ぶのは初めて」の方には少し難しめ。かじったことのある方や、「忘れたけど、さっと思い出したい」方には、上手くまとめられているのでおすすめです。
初めて学ぶ音楽理論
宮脇俊郎『最後まで読み通せる音楽理論の本』
めちゃめちゃ簡単。入門者にはうれしい1冊。
正直、私にとってこの本は「はじめの1冊」ではないので、(既に知っている内容だったので)最後まで読んでないです。”おそらく”最後までわかりやすい。
宮脇俊郎さんの本なので、間違いないはず。
この1冊で音楽理論の基礎はバッチリ
井原恒平『作曲基礎理論~専門学校のカリキュラムに基づいて~』
現時点で、1番おすすめ。
著者は専門学校の元講師。
専門学校のカリキュラムを参考に書かれた、作曲の基礎理論書とのこと。
ページ数「500超」とありますが、ボリュームより何よりまず「目次」をご覧ください。少し理論を学ばれた方なら、さっと目を通しただけで欲しくなるかと(笑)。現に、私も目次を見て即買いしました。1周読んで、2周目でポイントをまとめ、3周目で弾いて、少なくとも3回は読みましたが、読むたびに理解が深まります(1周目でさらっと流してしまった箇所が、実は重要だったり・・等)。
まず、「Chapter1:仕事としてのDTM関連のソフト&ハード」は、(必要ない方は)飛ばしてください。「Chapter2:音程」から理論です。内容は『新・実践コードワーク』を土台に、マーク・レヴィンのジャズ理論とクラシック系理論の”基礎”をまとめたイメージ(あくまで私見)。
説明は”丁寧”ですが、”簡単”ではありません。
音楽理論の厄介な点は、「理論」という文字から受ける印象ほど「完璧ではない」ということ。実際、音楽理論は万能ではなく「フレーズによっては、この音も使える」ことが普通で、学ぶほどに「基本となる考え方」の大切さを思い知ります。
1項目に多くの説明を割けない(ページ数・内容の限られた)理論書だと、「このスケールでは、この音がアヴォイド・ノートです」とだけ書いて理由の説明は無し、ということも珍しくありません。
「究極的には全ての音が使える」音楽の世界で、「理論の元となる考え方」まで教えてくれる本は貴重です。紹介文の一行「専門学校のカリキュラムを参考に」は伊達じゃない。本気の方におすすめです(さらっと読んで理解できる量ではない)。
あと、内容(質・情報量)に対してめちゃくちゃ安い。
「DLsite」はPDFなので、個人的には「Amazon」のKindleより扱いやすくおすすめです。
ジャズ理論の定番
Mark Levine(著)/愛川篤人(訳)『ザ・ジャズ・セオリー』
ジャズ系の理論を深めるなら、この1冊。
というより、日本語(翻訳含む)でジャズ理論書となると、選択肢は限られます。中でもマーク・レヴィンは有名。
理論と実践のつながりが、具体的にみえる本書。
とにかく例が多く、例えば「マイナー・メジャー・コード」だけでも
・Gigi Gryce『Minority』の4小節
・Horace Silver『Nica’s Dream』の3小節
・Billy Strayhorn『Chelsea Bridge』の3小節
・Wayne Shorter『Dance Cadaverous』の4小節
・George Gershwin『Summertime』の3小節
が紹介されています。
ある程度、自分で分析できる方は、この本を参考に独自のスタイルを作っていけるでしょう。英語版は半額なので、読める方はこちらを。
中身については「『ザ・ジャズ・セオリー』について」にて↓

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「音楽理論系」の、その他教則本を紹介します。
・菊地成孔/大谷能生『憂鬱と官能を教えた学校 上』 / 『憂鬱と官能を教えた学校 下』
読み物として面白い。現在のポピュラー音楽で広く使用されている「バークリー・メソッド」を、広い知識とユーモアを交えて掘り下げた1冊。簡単に理論を学んだ後で読むと、より楽しめます。
Amazonで人気だったので、一通り読んでみました。個人的に「サブドミナントの定義」と「テンションの簡単な考え方」がおすすめポイントです。ただ、説明が端的で、具体例は比較的薄く(ややジャズに偏り)、教科書のような印象です。”どれか1冊”であれば、「質」「量」「わかりやすさ」どれにおいても、井原恒平『作曲基礎理論~専門学校のカリキュラムに基づいて~』をおすすめします。
【コード・ブック系】
「形」で覚えるコードから、一歩先に
渡辺具義『ギター・コードまるわかりBOOK リアルに使えるコードワーク編』
はじめに紹介した渡辺具義さんの著書。
オープン・コードの押さえ方、テンションなど、使える音を指板図にまとめて紹介し、実際にフレーズを弾いて身につけるという実践的な本。オープン・コードを学べば「CAGEDシステム」で応用することは容易なので、コードを覚える基礎本としてもおすすめです。
「6・5弦ルートのコード以外は自身が無い人」「指板上の音の理解が曖昧な人」「コードの省略型、インターバルの位置関係をきちんと理解したい人」におすすめ。コードを「押さえる形」で把握する段階から、一歩進みたい方に。
ギター初心者のコード理解
渡辺具義『ギターコードまるわかりBOOK−フォームと進行の両面から迫る!』
同じく渡辺具義さんの本。
ギター初心者には取っ付きやすい分、『ギター・コードまるわかりBOOK リアルに使えるコードワーク編』より内容が薄いです。”簡単”なコード・ブックを求める方は、こちらも選択肢に。
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「コードブック系」の、その他良書を紹介します。
こちらも、Amazon等で数ページほど中身を確認できますので、購入前に必要かどうか検討してください。
ギターを始めたばかりの方が覚えるであろうコードは、この本の”2割程度”です。2割の根拠は、私がパッと開いたページで、よく使う押さえ方が(10個中)2個だった為。『オープン・コード事典』(※辞典ではない)のタイトル通り、コードの押さえ方が900個も載っています。
ある意味、これさえあれば他のコード表は必要ないでしょう。ただ、「コードの作り方がわからない」という方は、先に別の本で基礎を固めてください。「いつか使うかも」「コードの辞書として置いておきたい」と考えれば、あって損はない1冊。
【フォーム系】
ギターのプレイ・フォームを考える
宮脇俊郎『ギターマガジン グングンうまくなる究極のプレイフォーム』
ギターにも、弾きやすいフォームがあります。また、良い(安定した)音を出しやすいフォームがあります。
ギターのプレイスタイルは人それぞれで良いと思いますが、変なフォームのせいで速弾きが弾きにくかったり、カッティングがやりにくかったりと・・損をするのは避けたい。
打楽器だと、ある程度正しいフォームで演奏しなければ、成長はおろかケガにつながります。「脱力」や「大きな筋肉」を使う方法、スピードに合わせて「ヒジ→腕→手首→指」のように体の動かす箇所を変えたりなど、基本的な奏法の習得は必須。
しかし、ギターは非効率的なフォームでも「とりあえず弾ける」ので、フォームは軽視されがち。この本は、ギターで必要なほとんどのプレイ・フォームがまとめられています。私も「もっと前に読んでおけば良かった」と感じた1冊。
↓が新版っぽいです。(おそらく)
【テクニック系】
カッティングのフレーズ作り
山口和也 『16ビートが身につく! ファンクで覚える大人のカッティング』
バッキングの基礎、カッティング。「でも、何を弾いたらいいかわからない」「基本的なカッティング・フレーズを知りたい」方にオススメの1冊。「コード・カッティング」「単音カッティング」「ノリの出し方」「リズム・パターン」「カッティングで使えるテクニック」を知りたい方は是非。
フレーズを演奏することで、肉体的にもカッティングを記憶できます。オリジナル・フレーズにおいて”手グセ”は悪く言われがちですが、少なくともカッティングにおいては重要です。どんどん”カッティングっぽい”フレーズを蓄えましょう。
カッティングの基礎
宮脇俊郎『良いカッティング 悪いカッティング』
カッティング全般に当てはまる”基礎”に焦点を当てた本。
カッティングのフォーム、良い音の出し方、フレーズの作り方、実際の演奏と、バランス良くまとめられています。「音にキレが無い」「ミュートが上手くできない」と悩んでいる方、「ピックの持ち方」「右手の振り方」など基本のフォームから学びたい方にもおすすめ。
↓が新版っぽいです。
速弾きのレベルアップ
加茂フミヨシ『速弾きがうまくなる理由 ヘタな理由』
加茂フミヨシさんが教える”速弾き”。
もう間違いない1冊でしょう。
ただし、「速弾き練習、今日からはじめます」という方にとっては「テンポの合格ラインが高い!」と感じられるかもしれません。その場合、各々で目標テンポを下げて「とりあえず1周」してください。「合格テンポをクリアするまで次に進まない!」という自分ルール設定は、(おそらく)効率的なレベルアップに繋がりません。
個人的には「1年くらい自己流で速弾き練習してきたけど、停滞気味」という方に、最も効果的な本だと思います。「短い(1小節以内の)フレーズなら弾ける」「スケールをなぞるだけなら速い」といった方にもおすすめ。
右手・左手それぞれに的を絞った練習。説得力のあるポイント解説と、効果的な練習フレーズ。何より「既存曲のコピーだけでは、滅多に出会わないフレーズ」を練習できます。テクニカルなギタリストでも無い限り、あえて”弾きにくいフレーズ”を入れることは稀。ポップスの速弾きコピーだけでは習得できないテクニックも身に付く、レベルアップに最適の教則本。
順序立てて、練習メニューが組まれています。速弾きの定番と言えば『地獄の〇〇』シリーズですが、あちらは機械的(メカニカル)なフレーズ練習向け。
↓はDVD版。
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「速弾き」の、その他教則本を紹介します。
・小林 信一『地獄のメカニカル・トレーニング・フレーズ平成を生きるメンズのアニソン編(CD付) 』
速弾きフレーズ本の定番『地獄の〇〇』シリーズ。コツ・ポイント・フォームについては、加茂フミヨシさんの『速弾きがうまくなる理由 ヘタな理由』がおすすめ。
ちなみに私は、地獄シリーズは第1弾と第2弾までしか持っていません。
サイト的に「アニソン編」を載せましたが、検索したところ「入隊編」や「ゲーム・ミュージック編」「クラシック名曲編」など気になる作品が出ていました。「弾いてみたい!」と思った1冊から、手にとってみてください。
【フレーズ系】
コード・トーンをフレーズに
道下和彦『ギター無窮動(むきゅうどう)トレーニング 効果絶大のノンストップ練習』
夢中になって、練習しています。
ジャズテイストのフレーズを、ノンストップで弾き続ける。ただそれだけ。解説は特にないので、自分で分析する必要があります。
もう、めっさ楽しいです。タブ譜だと弾いている音がわかりにくいので、是非五線譜で。
内容↓
↓は「基礎」トレーニング編。
8分音符が4分音符になり、コードのリハーモナイズや基礎知識などが書かれているので、より親切です。即買いました(笑)。
ブルースの常套句
安東滋『DVDでよくわかる ブルース・ギターの常套句200』
ブルースこそ耳コピが当たり前のジャンルですが、楽譜で見ると気が付くことってたくさんあります。ブルースなら、コレ。
実は私、ブルースを弾くのは好きなのですが、ブルースを聴くのはあまり・・。ただ、個人的にGrant Greenとか好きで、サッチモの『St. Louis Blues』も大好き。ブルージーなジャズは別物・・怒られますね。「ブルースって聴く音楽じゃなくて、弾く(歌う)音楽じゃないの?元々はアフリカ系・・」もっと怒られそう。
踊るための音楽、暴れる(発散する)ための音楽、やばい薬・葉っぱを楽しむための音楽もある中で、決められたコード進行でもがく、魂の演奏。私の中でブルースは、演奏者が一番楽しめる音楽。
歌ものなら、ゴスペルが好きです。聖歌(賛美歌)とゴスペル、人種と宗教。エボニー&アイボリー、インディアン、ユダヤ、カトリック、イタリア系、アジア系、メキシコ系、アラブ系、イスラーム・・差別に満ちた移民の国、だからこそ?素晴らしい音楽が生まれた事実。彼らの言うソウルとは何なのか。
逸れましたが、本でブルースを学ぶのも悪くありません!
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「フレーズ系」の、動画を紹介します。
YouTubeで見かけ気になっていたのですが、遂に(誘惑に負け)登録。まだ全然見ていないので詳しいことは書けませんが、とにかく音がブルースです。
ブルース・チョーキングのくだりで「元々、初期のカントリー・ブルースはスライドギターで・・」の話から、さらっとチョーキングで(スライドバー無しで)スライドギターっぽいフレーズを弾いて「ぶ、ぶる~すや!」と感動して(支離滅裂)
私はブルースに詳しいわけではなく、特別好きなジャンルでも無いですし、「ブルースなんて好きに弾きゃあ良いんじゃねぇの」と思っています。
が、教わるなら(私の思う)「ブルースの音」を出せる人が良い。裏を返せば「ブルースギター・レッスン!」と謳いながらも、「ブルースっ”ぽい”だけの、何か(音選び・グルーヴが)ズレた」ギター講師ってYouTubeとかに結構いま・・やめよう。
ブルースの音を聴いて、練習するのが近道だと思います。
森孝人先生、しゃべるテンポはめちゃくちゃスローですが(笑)おすすめです。
【音感系】
メジャー・スケールを聴き分ける
フランツ ヴュルナー(著)/鏑木欽作 (訳)『全訳コールユーブンゲン』
買ったというより、家にあった1冊。
コールユーブンゲン、音感トレーニングでは基本の1冊。
歴史の中で残った本は良い。リズムは無視して良いので、「五線譜を歌う→正しい音程を楽器でチェック」を繰り返してください。「歌メロコピー」なども混ぜつつ練習すれば、1周するまでもなく、「ドレミファソラシ」なら聴き分けられるようになるでしょう。

音源が必要な方は、別で用意してください。
耳で弾くギター
トモ藤田『耳と感性でギターが弾ける本』
トモ藤田さんはジャズの名門、バークリー大の先生。
『Just Funky』のコピーは、私のカッティング・プレイに大きな影響を与えました。
”ギターと音感”なら、この本がオススメ。難しいことは書かれていません。音大の先生らしく、正しい耳のトレーニング方法を、丁寧に説明されています。
以上です。この機会に本の整理もしたのですが、音楽系の本は絶版になるのが早いですね。良い本でも、中古でしか手に入らないものがいくつかありました。
出会った時が、買いどきなのかもしれません。
ありがとうございました。
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