音楽をする上で音程の知識は必須。コードを理解するためにはインターバルが欠かせません。音の不思議、音と音の間隔について見ていきましょう。
音程(インターバル)とは?
説明不要でささっと音程をチェックしたい方は「インターバル一覧」を↓
それでは、説明します。
音程とは
音程(おんてい、英語:interval、インターバル)とは、ふたつの音の高さの隔たり、あるいは関係をいう。
音程 – Wikipediaより
わかりやすくて、簡潔な定義。
音程とは2つの音の間隔・距離のこと。
スポーツのトレーニングでも「インターバルを挟む」という使い方をします。
この音程、実は皆さんも既に使っています。
「半音」とか「全音」とかいう、あれのことです。
「なんだそうかー。じゃあもうわかった。終わり」
ちょっと待った!
全ての音程を言えますか?
そう!この世に存在するほぼ全ての音楽は、
たった12人の妹たった12種類の音程で構成されているのです!
「おおぉぉぉー」
音程の重要性、伝わったはずです。
音楽に関わっている限り、音程は何度でも出てきます。そりゃもう「やめてくれ」ってくらいに。なので、今いっぺんに覚えなくても構いません。
感じてください。
「あぁ、音程ってこんな風になってんだなー」
そのうち、覚えます。
それではいきましょう。
まず、音程は一般的に12に分けることができます。
ピアノの、低いCから高いCまでが半音12個分。
ギターだと、例えば6弦の開放弦Eから12フレットのEまでで半音12個分です。
普段よく使う「ドレミファソラシ」は、この12から7つの音を選び出して作られており、残った5つの音には#や♭が付きます。
実はこの12の音程全てに、名前が付いています。
「めんどくさっ、別に1~12番で良いんでねーの?」
いえ、そうは問屋が卸しません。音程に名前が付いていた方が、断然わかりやすくて使いやすいのです。
音程の数え方「度数」!
音程は度数で表します。
1度、2度・・のような使い方。
考え方は単純です。
まず「ドレミファソラシド」にそれぞれ数字を当てはめます。
ド=1度、レ=2度、ミ=3度、ファ=4度、ソ=5度、ラ=6度、シ=7度、(ド=8度)
8度(オクターブ)より上の数え方
さて、ここで「何故1オクターブ高いドが8度なのか?」「1度に戻らないのか?」という疑問が浮かびます。が、こういう風に考えることもできます。
「高いドが8度になるので、高いレは9度と数える」
コードで9th(ナインス)コードなんていうシャレたコードがありますが、9thは、1オクターブ高い9度の音をテンションとして加えるということ。
「どういうことや?」
ドを1度とした場合、レは2度。
そして、レ=2度に「1オクターブ上」を意味する7度を足して、9度。8度=ドなので、次の9度がレとも考えられる。
9度と表すことで、「低いレじゃなくて高い方のレやで!」ということが一目で伝わります。テンションコードで大活躍しますね。
11thなら、ファ=4度に、7度を足して、11度。
13thなら、ラ=6度に、7度を足して、13度。
めさ便利な考え方。
それでは、音程を詳しく見ていきましょう。
※説明をわかりやすくするために、基準の音をC=ドとします。
1度音程
完全1度
これが、完全1度です。
ユニゾンとも言います。
「けいおん!」劇中歌、『天使にふれたよ!』の歌詞
「ユニゾンで歌おう」は、「3度とかでハモラずに、皆1度で歌おう」。つまり、「同じ音程でメロディを歌おう」ということ。
わかりやすくするためにC=ドを基準に考えていますが、例えば
も、完全1度です。
繰り返しになりますが、音程は
”2つの音の間隔・距離”のこと。
2度音程
短2度(マイナー2nd、m2)
間に半音1つ
長2度(メジャー2nd、M2)
間に半音2つ
3度音程
短3度(マイナー3rd、m3)
間に半音3つ
長3度(メジャー3rd、M3、△3)
間に半音4つ
4度音程
完全4度(パーフェクト4th、P4)
間に半音5つ
増4度=トライトーン(3全音、#4)
間に半音6つ
5度音程
減5度(ディミニッシュ5th、dim5、♭5、-5)
間に半音6つ
完全5度(パーフェクト5th、P5)
間に半音7つ
増5度(オーグメント5th、aug5、#5、+5)
間に半音8つ
6度音程
短6度(マイナー6th、m6)
間に半音8つ
長6度(メジャー6th、M6)
間に半音9つ
7度音程
短7度(マイナー7th、m7、7)
間に半音10個
長7度(メジャー7th、M7、△7)
間に半音11個
8度音程
完全8度(オクターブ)
間に半音12個
まとめます。
スケールでみる音程!
メジャー・スケールの音程
ドを基準にして、横に並べました。
※C=ドからの距離です。
まずは、メジャースケールの度数(インターバル)↑
そして、12音全て表したのがこちら↓。
音程の名前は、1~7度(8、9、11、13度もある)に長とか短といった名前を付け足して作られています。
名前の付け方は、基準となる音(2音のどちらか)から
半音いくつ分離れているか?で決まります。
例えば、同じ高さのドとドの音程は、完全1度。1度に”完全”という名前が付け足されています。ドとドの間の半音は、0個。音程は、2つの音の間隔なので、レとレでも、ラとラでも完全一度です。
混乱しやすいポイントは、「同じ音同士を0度ではなく、1度と表す」ということ。深く考えてはいけません。「そういうものなんだ」と受け入れる素直さが大切。
協和音程と不協和音程
「完全・長・短・増・減」など出てきましたが、いったいこれら音程の違いは何でしょうか。
音名は周波数(振動数)で表せます。チューナー使うときにA=440Hzなどと設定するあれです。例えば、同じ高さのラとラなら440Hz対440Hzなので「1:1」。ドとドの場合でも、何Hzかわかりませんが「1:1」のはず。
「んなの、あたりめーだろ」
はい。そして、低いラと高いラの場合、440Hz対880Hz「1:2」になります。理科で習ったやつです。弦の長さLを半分にすると、振動数が2倍になって、音は1オクターブ上がります(完全8度)。
※ちなみに、ギターの5弦0フレット(低いA)は110Hzらしいので、110×2=220、220×2=440となり、2オクターブ高い1弦5フレットが440Hz。
ギターの場合、12フレットがちょうど弦の半分の長さにあたるので、12フレットを押さえると振動数が2倍になって、1オクターブ高い音が出ます。
それでは完全5度はどうでしょうか?
AとEは完全5度です。振動数はA=440Hz、E=660Hzで、440対660Hzは「2:3」となります。
簡単な整数比
ここがポイントです。
次は、完全4度。
AとDは完全4度。振動数はA=440Hz、D=(約)586.6Hzで、440対(約)586.6Hzは「3:4」となります。これも簡単な整数比。(※3度や5度を伴わない独立した完全4度は不協和音程)
このように
「2つの音の振動数が、”簡単な比率”であるほど協和していると感じる」
とのこと。
安定感抜群です。
完全1度、完全8度のことを「絶対協和音程」と呼び、完全4度、完全5度のことを「完全協和音程」と呼びます。完全4度と完全5度は、ひっくり返して(転回させて)も「完全⇔完全」。・・完全っぽい(笑)。
他の音も見てみましょう。
長3度。
AとD♭は長3度です。振動数はA=440Hz、D♭=550Hzで、
440対550Hzは「4:5」となります。
短3度は「5:6」
長6度は「3:5」
短6度は「5:8」
これら長3度、短3度、長6度、短6度のことを「不完全協和音程」と呼びます。
それ以外、長2度、短2度、長7度、短7度、増・減音程は「不協和音程」と呼びます。不安定な音程。(※比率は調べていません。気になる方は検索検索ぅ!)
協和音程は、2つの音の響きを聴いた時に「気持ち良い」と感じ、不協和音程は「気持ちよくない」と感じ・・・と単純に書きたかったのですが、手元にある本には「耳に対する不快感の度合いではなく、運動感覚の違いだ」と書かれていました。
う・・運動感覚?
まあ、スルーしましょう。笑
「不協和音程は、協和音程への解決を要求する」ということらしい。「早く協和音程に進みたいよ!」という不協和音程の思いが、音楽を豊かにするということですね。まあ、かなり主観的ですが、現代の音楽理論は物理学によって作られている部分が多いようなので、物理学的に(客観的データに基づいて)分析すると「そう考えるのが妥当だ」ということでしょう。
完全・長・短・増・減音程の関係性
音程の違いはこれでいいとして、「完全、長、短、増、減」の関係性だけは、知っておいた方がいいです。
表を見てください↓
例えば、
短3度より半音低ければ、減3度
短3度より半音高ければ、長3度
長3度より半音高ければ、増3度
という見方。
また、
完全5度より半音低ければ減5度、
完全5度より半音高ければ増5度
といった具合。
ただし、こんなに呼び方があるということは、名前がかぶっている音が絶対ありますよね?
例えば、増2度
と、
短3度
は、かぶってます。疑わしい方は楽器で確認してみてください。このような場合、どっちの名前を使うのかは、スケールやコード(やそのときの気分)によります。
例えば(ナチュラル)マイナースケールの曲なら、ほとんどの場合、短三度を使います。
マイナースケールの構成音はド、レ、ミ♭、ファ、ソ、ラ♭、シ♭。音程でいうと、完全1度、長2度、短3度、完全4度、完全5度、短6度、短7度です。
では、増2度はどういったときに使うのか?
いまパッと思いつく限り、オルタードスケールなんかがその一つ。オルタードスケールの構成音は、ド、レ♭、レ#、ミ、ソ♭(ファ#)、ソ#(ラ♭)、シ♭。
音程で言うと、完全1度、短2度、増2度、長3度、減5度(増4度)・・・と続きます。注目してほしいのは、増2度の右にある長3度。
「すでに長3度(ミ)があるので、短3度入れたら3度が2つになるから、ややこしい。この場合の3度は長3度だぞ。ドミナント系だぜ!」
という考え方ができます。
「でも2度は2つあるじゃねーか」
はい。そうです。そこはいいのです(笑)
3度はスケールを決める上でとても重要な音で、ほとんどの場合、この3度が、
長3度ならばメジャー系スケール
短3度ならばマイナー系スケール
となります。
だから、3度は1つで良いのです!というのが私の意見ですが、もっと詳しく知りたい方は検索検索ぅ!
度数の使用例
ここで少し、音程の使用例。
以前メロディの耳コピで練習した『天使にふれたよ』を例に。
出だしの
”ねぇ 思い出のカケラに”
(ねぇ)ミー
(思い出の)ドミファソファー
(カケラに)ミレドミー
まずは、
(思い出のー)ドミファソファー
から見てみましょう。
(お)ド (も)ミ (い)ファ (で)ソ (のー)ファー
・(お)ド (も)ミ →ドを基準に考えると長3度上がってる。
・(も)ミ (い)ファ→ミを基準にすると短2度(半音)上がってる。
・(い)ファ (で)ソ →ファを基準にすると長2度上がってる。
・(で)ソ (のー)ファー →ソを基準にすると、長2度下がってる。
「め、めんどくせー」
はい。こんなに細かく調べることは、滅多にないです。
実際はこんなときに使います↓
「ハモリのパートは3度でハモってよ」
「ギターソロのあの部分、半音(短2度)で下がってたなあ」
「曲の後半で、キーが(完全)4度上がったよねー」
「この曲のカバーさぁ、5度下に移調させよっか」
などなど。
そして、インターバルが大活躍するのは、何と言ってもコード。後のページで説明します。
音程(インターバル)の転回!
最後にどうしても覚えて欲しいことがあります。
「インターバル」の転回
です。
「転回ってなんぞ?」という方は、「ふーん。そなのね」程度に聞いてください。ただ、めちゃ簡単なのですぐ覚えられると思います。
ルールは以下の2つ。
完全⇔完全
まずは、完全⇔完全から。
ドから見てソの音は、「ド、ド#、レ、レ#、ミ、ファ、ファ#、ソ」と半音7つ分で、完全5度。
一方、ソから見てドの音はどうでしょうか?
ソから下に数えれば先ほどと同じです。なので、上に数えてみましょう。「ソ、ソ#、ラ、ラ#、シ、ド」と半音5つ分で、完全4度です。
どうでしょうか?
「いちいち数えるのめんどくせー」
素晴らしい。
それではルールを使いましょう。
完全5度の転回ですから、まずルール①から
完全⇔完全なので、完全のまま。
そして、ルール②から、元の度数(この場合は5度)と転回後の度数を加えると9になるので
5+〇=9
5+4=9
ルール①と②を合わせると、完全4度です。できました。
長⇔短
長(M)⇔短(m)
も、ささっといきましょう。
長3度(ミ)で考えます。ドから見てミの音は「ド、ド#、レ、レ#、ミ」と半音4つ分で、長3度です。
それでは転回させます。「ド→ミ」から「ミ→ド」への転回。さっきと逆に数えてみましょう。「ミ、ファ、ファ#、ソ、ソ#、ラ、ラ#、シ、ド」と、半音8つ分で短6度です。
手間がかかるので、ルールを使います。
ルール①より、長→短に変えます。
ルール②より、9-3=6で、
①と②を合わせると、短6度です。できました。
増⇔減
増(+)⇔減(-)
は、始めからルールを使ってみましょう。
減5度(ソ♭)でどうでしょうか。ドから見てソ♭は減5度です。転回させましょう。
ルール①より、減→増に変えます。
ルール②より、9-5=4で、
①と②を合わせると、増4度です。できました。
この増4度、半音6つ分なんですが、1オクターブは半音12個分ですから、ちょうど半分の音程なんですね。ということは?そうです。転回前の減5度も半音6つで同じです。
トライトーンと呼ばれる増4度の音程は、転回してもトライトーンなのです。
転回形の使い方
「まあなんか転回のルールはわかったけど、これ一体、いつ使うの?」
例えば!メジャーコードの「ドミソ」を転回させて「ミソド」「ソドミ」と弾くときに使えますよね。意識しなくても弾けるのは弾けるのですが、アレンジとか作曲をする上では、結構役に立つ知識。アドリブにおいては必須の考え方です。
気をつけて欲しいのは、転回させると雰囲気が変わること。「ド・ミ・ソ」で考えると、「ドとミ」の音程は長3度。「ミとソ」は短3度です。ベース音に何の音を持ってくるかで雰囲気がガラっと変わります。コードは大体M3rdとm3rdの組み合わせなので、1つ覚えておくと応用がききます。
前後のコード進行でも雰囲気がガラッと変わります。
例えば、C(Ⅰ)→G(Ⅴ)→C(Ⅰ)の場合、「C(G・E・C)→G(G・D・B)→C(C・E・G)」のように使うと、C→Gのベース音を変えずにスムーズに流れ、次のG→Cでより解決感が出ます。「E→DとC→B」の変化も個人的には好き。普通に真ん中を「C→D→E」で流しても良いですし、いろいろ試してみてください。
皆さんお疲れ様です。
ふー。一息つきましょう。
次回はメジャースケールです。
ありがとうございました。
次回は>メジャースケール
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