「初心者がいきなりアドリブするのは無謀」でしょうか?
もちろん否定はできません。でも実は、ギターを始めたばかりの人でもアドリブはできます。もっと言うと、初心者のうちに”アドリブ練習”をすることで、その後の成長速度が変わる。でも、多くの人はその事実を知りません・・。
しかし”誰も口にしない法則”
があります。それは・・
「楽器全部だいたいそうだろ!」
いえいえ、特にギターは顕著です。独学者が多いゆえに生じる格差。でも、このページを見てくださっている皆様は大丈夫。効果的な練習方法で、びっくりするほどの成長を・・保証はできませんが、期待はしてください!
アドリブとは?
アドリブとは
「自由に」を意味する音楽用語。即興演奏・インプロヴィゼーション。
アドリブ – Wikipediaより
ジャズやブルース、ロック。クラシック音楽も当時は即興演奏がもてはやされ、有名な作曲家はみな凄かったとか。作曲の一つの形であり、音楽表現の基本。
ではなぜ、いきなりアドリブ練習なのかというと、
”早い段階で自分の音楽を奏でて欲しいから”
これは何も「どうせやるならさぁ、自分の音楽やろうよ(流し目)」と、いかにもなことを言いたいのではありません。”練習に対する意識の持ち方を、最初に変えておきたい”ということ。
「ギター3年弾いてるけど、コピー以外やったことないわ」なんてケースは、ままあります。
コピーで身に付く知識のかたよりが生まれ、練習時に見える視野も狭くなるおそれがあります。例えば、速弾き・テクニック至上主義から抜け出せなくなったり、コピー時に「何故このフレーズなのか?どう応用できるのか?」なんて一切考えなくなるかもしれません。
それはそれで一つの楽しみ方でしょうが・・
アドリブは即興なので柔軟性があり、続けていくことで見える世界が変わります。同じ1時間の練習でも、多くのことに気づき、吸収の質も良い。結果として成長スピードにも影響します。
①コードのCを弾いて、(コード表を)見て覚える。
②コードのCをアドリブ内で使ってみる。
なら、②の方が得るものは大きい。
「どういった時にCを使ったら良い感じになるのか?」
「どの音を足せる(減らせる)のか?」
のように、コード練習で考えても当事者意識が高まるので、おトクですb
初心者がアドリブをするメリット!
「まあアドリブが良いのはわかったけど、ある程度弾けるようになってからでよくね?」
いえいえ、むしろ初心者の方がメリットが大きい。
1.「音」に対する意識
アドリブ練習をすると、いやでも”音”に意識を向けます。なんせ、自分で生み出しているのですから。”ド”の響き、”ソ”の響きを感じざるを得ません。
”音を意識しながら練習する”ことは、上達への近道。単なる指板の記憶、タブ譜の記憶に別れを。
2.リズムの引き出し
いきなり、自分の”思い通り”にメロディを奏でることは難しい。
でも”リズム”は違います。私たちの体には思いの外たくさんのリズムが眠っていて、アドリブ初日でも、イカすリズムをきざむことは可能。
実際に限界まで搾り出してみると「俺(私)って、赤道直下の少数民族の人よりレパートリー少ない・・」と感じることも。※ちなみに、最近は動画サービス等ですぐにアフリカのチャートをチェックできますが、聴いた感じラテン系リズムがめちゃ流行ってます(日本における8ビート並みに多い・・いや、今は4つ打ちなのか)。
3.今後の練習に対する意識
”意識の変化”は、ギター初心者にとって一番嬉しい効果。
唐突ですが例え話を。
①アメリカ人の友達・恋人がいる人
②旅行で1度だけアメリカに行ったことがある人
③アメリカとのつながりが全くない人
3パターンの中で、英語学習に対する”目的意識”、学習に対する”意欲”が高いのはどれでしょうか。
ふむふむ、なるほど・・①番ですよね。笑
①が、最も”英語を必要としている状況”です。勉強するときも「明日、このフレーズあいつに言ってみよう」というように、実際に使う言語としてモノにするでしょう。
応用力においても「あのフレーズの、SVCのCを変えれば、いろんな表現ができるじゃないか!」と気が付くに違いない。
ギターも同じ。アドリブで実際に使うことによって、上達スピードがグンとアップします。
音楽と言語学習は似ている!
雑談入ります。飛ばしていただいても構いませんが・・べ、別にみてくれても良いんだからねっ(チラッ)。
楽器の練習は、言語学習に似ていると言われます。
・英単語→短いフレーズ
・英文法→音楽理論
・リスニング→聴音
・リーディング→譜面読み
・ライティング→譜面おこし?
まあ・・おおむね当てはまります。
そして、音楽、言語学習で何より大切なこと。それは、
演奏=スピーキング
です!
スピーキング
スピーキングの第一段階は、自分の知っている単語を並べる練習。ギターだと、短いフレーズを並べて演奏する練習です。
フレーズを並べ倒すことに賛否両論ありますが、(私は)そんなこと気にしません。”既存のカッコいいフレーズを並べる”から、”自分のフレーズ”に応用させるのが近道。
「How are you?は既に誰かが使っているフレーズだから、オリジナリティが無い」なんて考える人はいません。真似からはじめれば良いのです。
リアリティ
「実際に明日フレーズを使うかもしれない・・」というリアリティ。「外国語は、現地に行くとすぐ覚えられるよ」という理屈も納得。※理屈はそうですが現実は・・なんでもないです。
音楽理論は、”ただ知っているだけ”ではリアリティがありません。”コピーするだけ”でも足りない。
そこで、アドリブの登場。
何か新しいことを学ぶたびにアドリブに取り入れれば、最高の復習になります。
作曲やアレンジでも構いません。しかし、スピード感と手軽さでアドリブは勝る。ヒット曲なら大体ネット上にコード落ちてますし、すぐ演奏できます。
アドリブ練習!
1.【ド】を使ったリズム練習
いよいよアドリブ練習です!
記念すべき1曲目は、WANDSの
『世界が終るまでは…』
(作詞:上杉昇 / 作曲:織田哲郎 / 唄:WANDS)
井上雄彦先生原作のテレビアニメ『SLAM DUNK』の第2期エンディングテーマ。1曲目にふさわしい名曲。
曲のKeyは、おそらくC。(※耳でキーを取っているので、おそらくです。)
Keyってなんぞや?という方は「Key(キー)とは?」に書いているのですが・・できれば順番に読み進めて欲しいです!
それではいきなりですが、下の画像のピンクの●を指で押さえてください。(※ギター以外の方は各楽器のC(ハ)を)
2つの●うち、どちらか一方で構いません。
↑のコード・ダイアグラムの見方については「コード・ダイアグラムの見方」を。
できるだけ弱い力で押さえた方が、あとあと楽です。弦を押さえる力が強いと、ギター演奏におけるほぼ全てに悪い影響が出ます。腱鞘炎という悪魔と、一生連れ添うことになるでしょう。
音名と階名なら↓
音名
階名
それでは、記念すべき第一回目のアドリブ練習!
曲に合わせて自由にドを弾いてください。
いかがでしょうか?
「俺が!私が!アドリブしている!!うおおおぉぉぉぉぉ!」
・・ふむふむ。そうでしょう。
そこまでは、なりませんよね。笑
だって「ドだけ」ですもん。
まさか、欲張って他の音を弾いちゃったとか。
うーん・・やり直しです。笑
今のアドリブで意識してほしかったのはリズム!
・たくさんのリズムパターンを試す
・曲のリズムから外れてみる
・音の強弱、ピッキングによるニュアンスの変化
など、自然と意識してもらいたかったのです。
リズムパターンなら10個以上。今回は、音の強弱もリズムに含めて考えます。キレキレの単音カッティングとピックの丸いところでやさしく撫でるのとでは、響きが全く異なります。
今まで楽器を弾いたことがない方でも、「曲」なら何百曲以上聴いたことがあるでしょうから、そのリズムを思い出してください。そして、意外と普通のリズムしか出てこない。聴くジャンルが偏っていたのか、目立つリズム(前に出てる音)しか聴いてこなかったのか、いずれにせよ成長の余地は大いにあります。
”曲のリズムから外れてみる”というのは、例えば歌手が「ここぞ!」というタイミングで、少しリズムよりも遅れて歌う・・もたる感じのあれです。演歌とかでよく聴く・・ジャズの方がわかりやすいでしょうか。
目的を一つにしぼる練習!
練習で重要なのは、
”(できるだけ)目的を一つにしぼる”
つまり
”目的以外を簡単にする”
ことです。
さっきのアドリブ練習の目的・・実は”リズム”でした。
なので、それ以外にあたる”音”は、あえて簡単に。「ドだけ」にしました。
普通、音を1音に限定されたら、まずはリズムで何とかしますよね。まさか”歯でギターを弾く”、ましてや”ギターに火をつける”なんて人・・います?笑
加茂フミヨシ先生も、自身の著書で
”速弾きを練習するなら、右手と左手の練習は分けなさい。”
的なニュアンスのことを、おっしゃって・・いたかも。(うろ覚え)
ギター練習において効率的なのは、マルチタスクではなくシングルタスクなのです。
マルチタスクは、コンピュータにおいて複数のタスク(プロセス)を切り替えて実行できるシステムのことである。(中略) 同時に一つのタスクしか実行できない方式をシングルタスクという。
マルチタスク – Wikipediaより
目的を1つに絞った練習で、習得スピードが全然変わります。これはもう科学的な根拠がありまして、脳科学系の雑学本にも書いてありました。 人間の脳の仕組み的に、複数のことを同時にするのが苦手だとか(同時にできるが両方に集中できない)。
また、複数の要素を入れた練習だと(ある程度気持ちよく弾けてしまい)成長ポイントを見逃し、どちらも中途半端になりがちです。
なので”(できるだけ)目的を一つにしぼる練習”に切り替えましょう。
”できるだけ”としたのは、完全に目的を一つにしぼるのは難しいからです。いかなるときも、音楽を奏でている以上は音を聴かなければなりません。
今回の【ド】のリズム練習でも、しっかりと”ドの響き”には集中します。これが”できるだけ”の意味するところ。
そして!
いずれは、両者(メロディとリズムなど)を合わせるときがきます。
速弾き練習の場合、右手と左手、それぞれの練習がある程度進んだら、次の目的は”両手を合わせること”にしぼります。それ以外は
・メロディはクロマチックだけ、もしくはCメジャースケールだけ弾く。
・リズムは16分で固定。
という風に、できるだけ単純にします。
しかし、これはあくまで練習です。
「バンドで演奏する曲を、一週間後までに覚えなければ・・」
といった場合、話は別。曲のコピーだけなら「覚える作業」と割り切りましょう。 曲を覚えるなら、”フレーズを歌えるようにする”など、効率的な方法を探してみてください。そして、個人練習は余裕のあるときにゆっくりと。
次回は「目的を音にしぼったアドリブ」です。
ありがとうございました。
次回は>アドリブギター練習!part2
コメント
とても分かりやすくて勉強になる記事ばかりでありがたいです。
( ̄∇ ̄)b
勉強になります。
( ̄∇ ̄)b