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指板上でコードトーンを弾く! コードの分析【TAB譜あり】

ギター指板上でコードトーンを弾いてみましょう。ついでに曲の分析なども少し。

指板上でコードトーンを弾く!

『わたしの恋はホッチキス』

テレビアニメ『けいおん!』より『わたしの恋はホッチキス
(作詞:稲葉エミ / 作曲:藤末樹 / 唄:平沢唯(豊崎愛生)/秋山澪(日笠陽子))

KeyはFです。

ルート音と3度

ルートと3度です。
6・5・4弦に、範囲を広げてみます。
残りの3・2・1弦は、各自でお願いします。

音名ではなく、インターバルに注目してみましょう。

長3度

短3度

タブ譜を用意しました↓

それでは今回も、川口千里さんの演奏に合わせてどうぞ!

いかがでしょう?

3度が増えると、急に音が豊かになった感じがします。

少しだけコード譜より複雑なコードを使っている箇所もありますが、あまり気にしないでください。

まずは、出だしの部分。

「なんでなんだろ 気になる夜 キミへの この思い」

ルートと、3度をバラバラに弾きます。
FCメジャー・トライアドなので、「ルート+長3度」です。

続き

「便せんにね 書いてみるよ」

Dm7」が出てきました。
□m7の構成音は「R, m3, P5, m7」なので、「ルート+短3度」を弾きます。

それでは、この部分のコード進行を少し考えてみましょう。
Dm7→C→B♭→Cをローマ数字に直すと
Ⅵm7
すべてダイアトニック内のコードです。

分析1.□m7を□7にリハーモナイズ

少し飛ばして

「好きの確率わりだす計算式」

コード進行を見てみましょう。
B♭→C→A7→D・・ローマ数字に直すと
Ⅳ→Ⅴ→Ⅲ7→Ⅵ

「あれれ~おかしいぞ~」と気づいた方は、するどい!
Ⅳ→Ⅴ→Ⅲ7

Ⅲ7とⅥは、ダイアトニック内のコードではありません。ダイアトニック外のコードです。ダイアトニック内なら、ⅢmかⅢm7、ⅥmかⅥm7になるはず。

何故このコードを使ったのか、少し考えてみます。まず、Ⅲm7ではなくてⅢ7でも良いのか?という疑問ですが、□m7は、しばしば□7にリハーモナイズされます。リハーモナイズは、あるコードを別のコードに置き換えること。

リハーモナイズする理由の一つはⅤ→Ⅰ。つまり、Ⅴ7→Ⅰのドミナントモーションを生み出すため。(Ⅴ→Ⅰは、後のページで説明します)

「でもⅢ7→ⅥだしⅤ7→Ⅰじゃないじゃん!」

五度圏をご覧ください↓

左回りⅤ→Ⅰ
右回りⅠ→Ⅴ

今回はA7→Dなので、A→Dを見てください。
ちゃんと、5度下になっています。
A→DはⅤ→Ⅰとも考えられるのです。

話は戻り、A7→Dで「Ⅲ7→Ⅵ」でした。
今度は、Ⅵに注目です。ダイアトニック・コード内ならⅥmかⅥm7になるはず。

何故Ⅵなのか?

分析2.Ⅵm7ではなくⅥ(推測)

Ⅲ7→Ⅵ。
何故、にしたのか?考えてみましょう。もちろん、正解は作曲者のみぞ知るですが・・。

単純にメジャーに落ち着くと気持ちいいですし、Ⅲ7のレ→Ⅵのド#→次にくるⅣのドが、半音で流れるということ。また後に説明しますが、平行調(Dm)の同主調(D)という考え方もあるでしょう。

あと注目したいのは、メロディです。

「好きの確率わりだす計算式」

「・・けい(A7)さんしき(D)

歌メロコピーをした方は、お気づきでしょう。

「・・けいさんしき」の「き」
の音が「レ♭」です。スケール内の音ではありません。

「けいーさーんーしー
「シミーファーミーレーレ♭

音名で見ると、G♭
A7→Dというコード進行でした。

Dの構成音は「D, F#(G♭), A」と、3度の音がG♭。「G♭」の音は、DにとってM3(長3度)なので、DmをDにしたとも考えられます。

コード進行ありきなのか、メロディからなのか。一瞬の転調が入って、フレーズの変わり目にしっくりきます。ちなみに、「Ⅳ→Ⅴ→Ⅲ→Ⅵ」進行は、めちゃめちゃ人気です。

分析3.Ⅳ→Ⅴ→Ⅰのコード進行

次です。

「あればいいのに」

コード進行は「B♭→C」。
ローマ数字だと「Ⅳ→Ⅴ」
普通ですね。

いよいよサビ。

「キラキラひかる 願い事も  グチャグチャへたる 悩み事も」

コード進行は「F→Am7→Dm7→C6」。ローマ数字に直すと
「Ⅰ→Ⅲm7→Ⅵm7→Ⅴ6」

さっきの(サビ直前の)コード進行
「Ⅳ→Ⅴ」と、繋ぎ合わせると、Ⅳ→Ⅴ→Ⅰ

サビの最初がⅠなので、サビの最初で解決するような組み方。

分析4.ⅤではなくⅤ6

サビのコード進行に戻りましょう。

「F→Am7→Dm7→C6」をローマ数字で表すと
「Ⅰ→Ⅲm7→Ⅵm7→Ⅴ6」

「あれれ~おかしいぞ~」

そうです。Ⅴ6が、ダイアトニック外の音。
ダイアトニック内なら、ⅤかⅤ7のはず。

「・・悩み(C6)事も」

まず、Ⅴ6はⅢm7と構成音が同じ。なのでⅥ→Ⅲの形になります。

歌詞のメロディは
「なやみーもー」
「シドミーファドー」

ミの音名は「A」
C6の構成音は「C, E, G, A」。

こちらも、メロディの中に、C6(Ⅴ6)のコードトーンが入っていました。

・・めんどくさい。笑
ようは、気に入った音を弾けば良いんです。

分析5.オンコード、分数コード(ベース音の移動とUST)

進みましょう。

「そーだホッチキスで とじちゃおー」

「B♭→F /A→Gm7→C」ローマ数字だと
「Ⅳ→Ⅰ/Ⅲ→Ⅱm7→Ⅴ」

F/A(FonA)というコードが出てきました。
いわゆるオンコードです。

算数の分数「1/2(2分の1)」と同じ。

分母がベース音で、分子がコード
例えば「C/G」(ConG)なら、「C(C,E,G) / G(G)」となります。コード・トーンを低い音から並べると、「G, C, E, G」。

C/Gの場合は、分母のGと分子のGかぶっています。コードの転回形とみなして、分子のG省略してもいいでしょう。

分数コード(≒オンコード)は、自分で譜面を書くときに「どうしてもこのコードは転回して、ルート音にこれを持ってきて欲しい!」という場合に有効です。

そして、「○/○」の形が出てきたときには、もう一つ可能性があります。それが「UST(アッパー・ストラクチャー・トライアド)」。

簡単に言うと、
「コード / コード(ドミナント)
上も下もコード(三和音)

全部弾いたら6和音!
ギターの場合、実際に弾くときには、音数を減らす方法が一般的。

例えば、「C△7(9,11)」というコードがあったとします。
「な、なんじゃこれー!」

でも「Bm(♭5)/C」と書いてしまえば、「ふむふむ。Cの上に、Bm(♭5)乗っければいいのね」と、わかりやすい。

※厳密にはUSTの下はドミナントコードにします。分母がドミナントで無い「コード/コード」なら「スラッシュコード」と呼ぶことも。

他の便利な使い方だと・・
コードの重ね方で上に重ねるテンションを変える、つまり「〇/Ⅰ」の分子〇の組み合わせを変えることでテンションを変化させます。

複雑なテンションコードを1つずつ覚えていくよりも、トライアドに分けて「組み合わせ方で覚えておく」ことで、応用しやすくなります。コードを分離させて響かせたいときや、ジャズなどスピードとコードの複雑さが求められる分野などで重宝されます。

ちなみに、「オンコードは下がベース音(単音)」で、「分数コードは下がコード」などと書かれている本もありますが、正直かなり微妙だと思います。オンコード(○on○)なら下は単音で良いですが、分数(○/○)で書かれている場合、両方の可能性が考えられます。

話を戻します。

「B♭→F /A→Gm7→C」ローマ数字にすると
「Ⅳ→Ⅰ/Ⅲ→Ⅱm7→Ⅴ」

でした。
この場合のF/Aは、FonAですね。たぶん。
なので、分子F(F, A, C) / 分母A(A)です。Aがかぶっているので、分子のAは省略してもいいですね。

問題は、なぜオンコードなのか?
注目すべきは「Ⅰ/m7→Ⅴ」

取り出すと
Ⅳ→Ⅲ→Ⅱ。数字に直すと「4→3→2
めちゃスムーズです。

このように、ベース音のスムーズな移動は、よく見かけるテクニック。オンコードを見つけたら、前後のコードを確認してみてください。スケールを上がったり下がったり、半音での移動もありますよ。

分析6.クリシェ

進みましょう。

「はじまりだけは 軽いノリで しらないうちに あつくなって」

コード進行は
「F→C→Dm7→F/E♭」。ローマ数字に直すと
「Ⅰ→Ⅴ→Ⅵm7→Ⅰ/Ⅶ♭」

「あれれ~おかしいぞ~」笑

Ⅰ/Ⅶ♭」が、ダイアトニック外のコードです。
これも分数コード(オンコード)ですね。

しかし、今度は分母のⅦ♭が、ダイアトニック外の音。

分析する前に、次のコード進行も見てみましょう。

「もう針がなんだか通らない」

コード進行は
「Gm7→F→B♭→C」。ローマ数字に直すと
「Ⅱm7→Ⅰ→Ⅳ→Ⅴ」

さっきの進行とつなげると、
「F→C→Dm7→F/E♭→Gm7→F→B♭→C」

ローマ数字だと
「Ⅰ→Ⅴ→Ⅵm7→Ⅰ/Ⅶ♭→Ⅱm7→Ⅰ→Ⅳ→Ⅴ」

どうでしょう?

「どうでもいい!」

笑。もう少しだけ、お付き合いください。
注目したいのは、ここ↓

「F→C→Dm7→F/E♭→Gm7→F→B♭→C」

まずは、Dm7→F/E♭。
Dm7の構成音は「D, F, A, C
F/E♭の構成音は「E♭, F, A, C

どうでしょうか?

そうです!ベース音以外の、コード構成音が同じです!
そして、ベース音を見てください。

「D→E♭」
「Ⅵ→Ⅶ♭」数字だと「6→♭7」

半音で動いています!
さっき言ったあれです。
しかも、ベース音以外、動いていません

クリシェ・・と言えなくもないです。

クリシェとは

上記の用法から転じて、同じ和音が長く続くとき、構成音の一つを半音・全音ずつ変化させていくこともクリシェという。また、変化させる構成音が最低音のときは特にベース・クリシェ(Base Cliche)と呼ぶことがある。
クリシェ – Wikipediaより

弾いてみるとわかりますが、ベース音だけ半音上がって、
「なんか今、かっこいい動きしてる!」
という感じがします。

分析7.ドミナント・モーション

続きです。

コード進行は
「F→C→Dm7→F/E♭→Gm7→F→B♭→C」で、

次は「F/E♭→Gm7」に注目。

例のごとく、コード構成音を書き出してみます。

F/E♭の構成音は「E♭, F, A, C」
Gm7の構成音は「G, B♭, D, F」です。

少し並び変えてみます。

F/E♭の構成音は「E♭, A, F, C
Gm7の構成音は「D, B♭, F, G,

まずは、F/E♭の「E♭, A」の音、よく見ると増4度(トライトーン)の音程。

そして、Gm7の「D, B♭」の音は

それぞれ、逆方向に半音移動して解決しています。これが、ドミナント・モーション

詳しくは「コードの機能」で説明します。

そして、F/E♭F7構成音が同じです。

五度圏を思い出してください。F5度下B♭です。B♭メジャースケールの平行調は・・Gマイナースケールです。コードのGmは、B♭の代理コード。

つまり、「F/E♭→Gm7」は「F7→B♭」の動きと似ている(Ⅴ→Ⅵ)。ほぼ「Ⅴ→Ⅰ」。

無理やりすぎですかね?笑
まあ単純に、かっこいいコード進行です。
結局は音がよければ、なんでも良いんです。

そして、
「F→B♭→C」
「Ⅰ→Ⅳ→Ⅴ」ときて

「ララ☆また明日」

「→F」
「→Ⅰ」
と、終わりたいのですが、実際にはまだ2番があるので、Fで終わらずにB♭に続きます。

そして、ここまで書いて気が付きました。ルートと3度を説明する予定が・・完全に無視してしまいました。

ルート音と5度

ルートと5度も作りましたので、載せておきます。
6・5・4弦は作りましたが、残りの3・2・1弦は各自でお願いします。

完全5度

ダイアトニック・コードだと、Ⅶm(♭5)だけは「ルート+♭5」。ただし、この曲では無かったような気がします。

間違っていたら、ごめんなさい。数か所だけ5度音程では無い箇所もあります。それは、間違いではありません。

ルート音と3度と5度

ルート+3度+5度も作りました。
サビの部分はできるだけポジションを少なくするために、転回形を弾いています。

今回は以上です!
お疲れ様でした。

次回は、コードの機能についてみていきます。
ありがとうございました。

次回は>コードの機能!(トニック・ドミナント・サブドミナント

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