試される音作り。
ストラトキャスターとは!?
「エレキギター?あぁ、あの棒みたいなやつ付いてるギターでしょ」
日本においてエレキギターの代名詞ともいえる、ストラトキャスター。「まてまて、そんなことはない」と反論する方は、レスポール派なのかもしれません。
ストラトキャスターは、Fenderが発表したエレクトリックギター。Fender社以外のものは、ストラトキャスター・タイプと呼びますが、面倒なので以降省略します。
ストラトがここまで上りつめたのには、過去の偉大なギタリスト達の影響が大きい。いつの世も、大衆音楽の持つ影響力は絶大です。
エレキギターは歴史の浅い楽器ということもあり、ここ100年で数々の進化を重ねてきました。「あのギタリストのギター、かっけぇー!」という憧れの積み重ねで、今のエレキが存在します。ヴィンテージ・モデルが人気の理由は、決して音だけではありません。
ストラトなら、ジミ・ヘンドリックス。良い意味でも悪い意味でも、ロックギタリストに大きな影響を与えた彼。激動の時代、荒れた生活も相まって「ロック・スターは短命」という、悲しい定説も生まれました。
しかし、ストラトキャスターは今もなお、世界中のギタリストに愛され続けています。
○トレモロ・ユニット
ストラトのブリッジは、他のギターと少し違います。
シンクロナイズド・トレモロと呼ばれる機構を用い、ブリッジ部をアームで動かすことで、音程を大きく変化させることができます。アームを押したり、(フローティング調整して)引っぱったりすると・・あの、ギュインギュインした音を出すことができるのです。
「調整、チューニングが難しい」「そもそもアーミングをしない」「邪魔」などの理由でアームを外す人もいます。そんなときは、ブリッジをボディに固定(ベタ付け)することでチューニングが安定するのですが、スプリングを締める以外に、トレモロに”木片”を挟んで固定する方法も有名です。
詳しくは、「第41回 めざせフェンダー博士【2】/J-Guitar.com様」をご覧ください。
また、アームを適当に保管していると、いざアームが必要になったとき「あれ、アーム・・どこ置いたっけ(汗)」となるケースも。まずはギターケースから探してみてください。笑
フローティング調整をした方は、「オクターブチューニング」もお忘れなく↓
○ボディ
空洞の無いソリッドボディ。非対称に伸びたツノ。高音弦側と低音弦側の両方をカットしたダブルカッタウェイで、ハイフレットが弾きやすい。
腕や肘に優しい、体にフィットするよう実用的に削り取られたボディ。角の無いセクシーな丸みは、座って演奏するときも優しく包み込める。ストラトに慣れると、他のギターを弾いたときに物足りなさを感じてしまうこともあるでしょう。
ストラトのボディ形状に似た、派生モデルも多く存在します。
○音
J-POPを聴いたことがある限り、1度は耳にしたことのあるストラト・サウンド。
ストラトは3つのピックアップ(フロント、センター、リア)と、フロント+センター、センター+リアの2つのハーフトーン。計5種類の音を出すことができます。それらを、セレクタースイッチで選択するのですが、コイルタップなどを使用すると、更に音色の幅が広がります。
テレキャスやレスポールと比べると真ん中よりのサウンドで、3つのピックアップによる音域、音色など音の差を使い、幅広い音作りが可能だと言われています。万能ストラトにするため、リアにハムバッカーを搭載する人も増えてきました。
個人的には、フロントPUのふくよかで奥行きを感じる音が大好きです。ストラトの特徴的な音として、ピキピキ、キラキラ繊細なハーフトーンを挙げる人も少なくありません。
ストラトサウンドは、いくつものパーツ、トレモロユニット(スプリング)、ピックガードに搭載されたピックアップ、ネックとボディをネジで止めるボルトオン方式など、あらゆる要素が重なってできています。そして、それらを調整することで音が変わるのも、ストラトの面白いところ。
エレキギターは、音作りを楽しむ楽器。そういう意味では、ストラトはエレキギターを最大限に楽しめる楽器だと言えます。
○ピックアップ
ストラトの基本仕様は、フロントPU、センターPU、リアPUの3つのシングルコイルピックアップ。フロントPU+センターPU、センターPU、リアPUのハーフトーンを含めて、計5種類の音を選択できます。
コントロール・ノブは基本的に、マスターボリューム、フロントトーン、センタートーンの3つ。リアPUのトーンノブが無いのも特徴の一つ。
フロントPU+リアPUをミックスしたり、ハムバッカーをのせたりと、「ストラトでできそうなこと」は大体試されています。
ストラトのシングルPUは、基本的に3つとも同じものを搭載。ピックアップ交換をするとわかりますが、パーツ類はピックガードに付いています。ピックアップ交換の際は、購入前に一度確認してみてください。
ストラト用ピックアップをお探しの方は、以下の記事も是非ご覧ください。
○その他
ストラトに慣れるまでは、手がボリュームノブに当たってしまいます。ただ、あの配置のおかげでボリューム奏法がやりやすい。上手く付き合っていきたいですが、「このやろー!」とイライラする方は、外してしまうかボリューム以外に交換するのも手です。
ストラトキャスターの選び方!
各ギターに共通する基本的な違い(指板Rやネック幅など)は↓にて。
●ピックアップの組み合わせ
ストラトといえば3つのシングルコイルですが、ギタリストのさまざまな要望を取り入れて、ハムバッカーとの組み合わせもよく目にします。
いくつか紹介します。
・SSS
フロントPU、センターPU、リアPU、3つとも全てシングルコイルのストラトらしいスタイル。
元々のストラトデザインが3つのシングルコイルであった以上、これまでも、そしてこれからもずっと、愛され続ける組み合わせでしょう。
・SSH or HSS
Fenderが(ブリッジ側から見て)「HSS」と呼んでいますが、フロント側から考える方がわかりやすいので、「SSH」と表記するお店も多いです。
フロントPU、センターPUがシングルコイル、リアPUがハムバッカーの配列。ストラトらしいサウンドに、太くパワーのあるハムバッカーをのせる事で、1本で幅広い音作りができるよう考えられた組み合わせ。
歪ませたパワーコード、単音歪みソロでは「ハムバッカー」。チャキチャキ鳴らしたいカッティング、繊細なアルペジオでは「シングルコイル」というように、演奏中に切り替えて使うことで、ギター1本でカバーできる範囲が拡大。
ただし、シングルとハムの”音量差”に悩むことも。曲中でPUを切り替えるプレイスタイルの方は、チェックしたいポイントです。
タップスイッチを使用して、ハムをシングルとして使用する改造も存在します。
・HSH
HSHは、フロントPU、リアPUがハムバッカー、センターPUがシングルコイルの配列です。SSSやSSHに比べると数は少ないですが、”ストラトっぽい”現代仕様のギターで、よく見られる配列です。
・HH or HHH その他
HH、HHHは、全てハムバッカーのタイプ。もちろん、欲しい音や見た目で決めるのが一番ですが、こうなってくると”逆に”ストラトに対する愛情、執着さえ感じます。
●コイルタップ
タップスイッチを使用して、ハムバッカーの片方のコイルを鳴らないようにすることで、「シングルコイル(のような状態)」と「ハムバッカー」を切り替えます(※実際の内部構造は知りません)。
コントロールノブ(スイッチポット)のオン/オフ(引っ張り上げ/押し込み)で切り替えるものや、(ミニ)スイッチを使用する方法が一般的。
自身で改造する場合、ハムPUが改造に適したものかチェックしてみてください(無理やり改造するのもアリですが)。
「両方使えるとか、めっちゃお得じゃん!」と初めは思うのですが、本当にお得ならば、もっと普及してもいいはず。ハムバッカーとしての使用を前提としているため、「完璧なシングルコイルの音」ではありません。
演奏中に切り替える場合、音量差も無視できません。ただし、その差を利用したいのであれば、ペダルを踏む手間も省けて便利。気になる方は、是非一度試してみてください。
●フレット数
伝統的なFenderストラトキャスターのフレット数は、21Fまで。22F以上を頻繁に使用する方で「チョーキングでなんとかする」という方以外は、購入基準の一つにしてください。
フレット数で伝統を重んじる必要はありません。演奏性に目を向けましょう。
●トレモロ・ユニット
基本的にストラトだと、シンクロナイズド・トレモロ・ユニットですが、ストラト・タイプ、”ストラトっぽい形状”のギターも含めると、話は変わってきます。
大胆なアーミングがしやすい、ロック式(フロイド・ローズ)を搭載しているモデルも見かけます。ネジ止めが6点式や2点式など細かい違いもありますので、購入の際に、好みのトレモロ・ユニットか確かめてみてください。
※参考)『エレキギター用ブリッジの種類』/サウンドハウス様
●指板
メイプルか、それ以外かです。
「ストラトがメイプルじゃなくて、何をメイプルにするんだ?」という考えの人も(私を含め)存在します。悩んでいる方は、サウンドがどうのこうの・・は無視して、見た目と肌触りで決めてください。メイプル1ピース、貼りメイプル、塗装の違いもありますので気に入ったものを。
●その他
ラージヘッド、スモールヘッドなど、ヘッド形状が気になる方はチェック。
3種のピックアップを搭載できるため、改造も含め数多くの配列パターンが存在します。個人的には、「フロントPU」と「リアPU」をミックスさせた音色が好みです。
おすすめのストラトキャスター!
ストラトはとにかく機種が豊富で、派生モデルもたくさん。
「ストラトはFenderしか認めない!」という方は、フェンダー製を。「まあ、他のブランドも見てみようかな」という方は、是非たくさんのブランドから探してみてください。また、ストラトっぽいヤツも紹介する予定なのでご注意ください。笑
搭載されているピックアップや、その組み合わせ「SSS,SSH,HSH,HHなど」。トレモロ・ユニット、コイルタップ機能など、それぞれ重要としている機能。改造を考えている方は、その点も。私の場合、5万円あたりまではピックアップ交換を視野に入れて、10万円以上ならPU交換無しでの使用を前提に選びます。
まずはフェンダー社のブランド、スクワイヤー。次に本家フェンダーを紹介。以降、思いついた順番で紹介します。
【Squier】
スクワイヤー(スクワイア)は、フェンダー社のブランドの一つ。フェンダーよりも安価な商品を取り扱っています。コスパ重視の方にはおすすめ。
スクワイヤーのストラトキャスターは、
・Bullet/Affinity コスパの良い現代シリーズ
・Standard 妥協無しの標準シリーズ
・Vintage Modified ヴィンテージ+現代アレンジ
・Classic Vibe 伝統を受け継ぐ最上位機種 ※生産終了らしい。
とありますが、ここでは「Standard」だけ紹介します。
☆Standard
(公式ページで詳細を確認)
税抜32,000~42,000円程度(調査時)
ストラトでこの価格。妥協無しのコストパフォーマンス。2点支持ブリッジ、22フレットなどバランスの取れたモダン標準シリーズ。
『Standard Stratocaster』
※左利き用もあります。
『Standard Stratocaster HSS』
『Standard Strat FMT』
(動画:SwedishGuitarNerdさん)
【Fender】
ストラトキャスター本家。
消えたFender Japan。ChinaにIndonesia、Mexico、USA。全てここに含めて紹介します。
かつて「フェンジャパ」として親しまれたフェンダー・ジャパン。今でも中古市場を中心に人気で、製造年から製造・組み込み元(フジゲン、ダイナ・・)を調べるという、玄人じみた目利きが一般化しています。
安くフジゲン製が手に入るのは嬉しいですが、このあたりが機材マニアの闇の入口のような気が・・(※欲しい機種について詳しく調べることは、決して悪いことではありません)。
メキシコにUSA、安価なモデルだと中国製などありますが、フェンダー社内でどういうことになっているのか私は知りませんので、詳しく知りたい方はグーグル先生か本社に。
近年のフェンダー社のブランド戦略について、疑問を持っている方もいると思います。が、安く「Fender」のロゴが手に入るなら、それはそれで嬉しい。
「音がどうのこうの」よりも「本物」であることに、より大きな価値を感じる人もいます。安価なモデルの音が気になる方は、是非自身の耳で確認してみてください。
・Modern Player 現代的なパーツと組み合わせ
・Special Edition 個性的なスペック
・Japan Exclusive 日本製
・Standard スタンダードを低価格で
・Deluxe 伝統 + モダンを低価格で
・Classic 歴史的なモデルを低価格で
・Road Worn 使い古したギターを再現
・Classic Player ビルダーの遊び心
・American Special お得なUSA
・American Professional アメスタからアメプロへ
・American Elite 上質なモダン
・American Vintage 時代の名器
・カスタムショップ 最高技術の手作り
Fender公式サイトに載っているシリーズです(調査時)。シリーズは時代によって変わりますので、最新モデルは公式サイトなどでチェックしてみてください。
どれも気になりますが、ここではコスパのいい「Standard」と、アメスタに変わる新しいスタンダード「American Professional」を紹介します。
☆Standard
(公式ページで詳細を確認)
税抜64,000~89,000円程度(調査時)
伝統的なストラトに、現代のプレイに耐えうるスペックを搭載。世界標準のストラトを、この価格で。
いわゆるフェンダー・メキシコとして知られているシリーズです。価格の高いUSAモデルと区別されますが、価格に対しての評判は決して低くなく、ギターとして十分な性能を備えています。
『Standard Stratocaster』
※左利き用もあります。
『Standard Stratocaster Plus Top』
※左利き用もあります。
『Plus Top with Floyd Rose』
『Standard Stratocaster HSS』
『HSS Plus Top』
『Standard Stratocaster HH』
(動画:inthebluesさん)
☆American Professional
(公式ページで詳細を確認)
税抜180,000~195,000円程度(調査時)
アメリカン・スタンダードからアメリカン・プロフェッショナルへ。世界標準とされてきたアメスタをフルモデルチェンジし、時代はアメプロに。
Fender最新の技術を盛り込み、現代の幅広いジャンル、演奏に耐えうるスペック。快適な弾きやすさにこだわったネック、スムーズなネック移動を意識した塗装、細身のフレット。時代に合わせた進化を遂げ、これからもFenderは進化し続けます。
『American Professional Stratocaster』
※左利き用もあります。
『American Professional Stratocaster HSS Shawbucker』
『American Professional Stratocaster HH』
(The Guitar Magazineさん)
【ヤマハ】
3万円で選べと言われたら、おそらくPacifica(パシフィカ)・・もしくは掘り出し物の中古ギターを選びます。
ヤマハのパシフィカ。ストラトキャスターとは若干形が異なる、ストラトに”近い”形状。なんといってもコストパフォーマンスが最強で、楽器に強いヤマハが造っているという安心感もあります。
音が気に入らない場合、ピックアップを交換すれば長く使えます。最初の1本として選んだ場合、改造も含めて、なんだかんだで一生使い続けられるメーカーです。
☆PACIFICA112 / 212
(公式ページで詳細を確認)
税抜29,000~37,000円程度(調査時)
ストラトに似た特徴的な見た目。新品、3万円前後で購入できるギターとして、コスパ最強だと感じます。
ピックアップがSSHのタイプは汎用性が高く、「まだどんなジャンルを演奏するか決めていない」という方にもおすすめ。
コイルタップ機能が搭載されたモデルでは、より多くの音作りが可能に。トレモロを使ってアーミングもでき、何から何までできる1本です。
(動画:サウンドハウスさん)
【フジゲン】
安心のフジゲン。品質のフジゲン。
アイバニーズ、グレコ、フェンダージャパン・・その他多くのブランドを手掛けてきた実績と、培われてきたノウハウ。
国産ギターの代表的存在で、”弾きやすさ”を追求したギターは、楽器として最高。日本人が「弾きやすい!」と感じる設計がされているのもポイント。1本目として選んだ日には、周りから羨ましがられるでしょう。
Webオーダー以外だと、フジゲンの全てが詰まったExpertシリーズ、Expertをコスパの面から見直したJ-Standardシリーズ、安価でモダンな演奏に最適のNeo Classicシリーズあたりが今人気です。
ここでは、コスパ最強のNeo Classicを紹介します。
☆Neo Classic
税抜71,000~100,000円程度(調査時)
演奏性を追及したフジゲンの”造り”と、現代的な演奏を意識した音。何よりコストパフォーマンスが良いので、1本目としては文句なし。既に他のモデルを持っていて、「ストラトも弾いてみようかな」という方にもおすすめです。
(動画:GregsGuitarsさん)
【グレコ(Greco)】
グレコは、神田商会がもつブランドの一つ。フジゲンとも繋がりがあるので、気になる方は検索してみてください。
フェンダージャパンが消えた今、1本目ギターとしての人気はグレコが勝ち・・いや、どうだろう(笑)。5万円前後で買えるギターとして、WSシリーズがあります。
☆WSシリーズ
(公式で詳細を確認)
税抜56,000~70,000円程度(調査時)
ナット幅40mmのナロー・ネックと薄めのネック。(※ちなみに、「ネックが薄いと、手が小さい人にとって弾きやすい」とは一概に言えません。私も手が小さいですが、薄めのネックはどちらかというと苦手です)
23色のカラー・バリエーションとフィンガーボード(メイプル or ローズウッド)の組み合わせで、46パターンのデザインから選べます。見た目で差別化したい方にもおすすめ。
【Bacchus(バッカス)】
バッカスは、長野県に国内工場を持つ、ディバイザーのブランドです。幅広い価格帯で販売しています。最上位機種のHandmade series。上位モデルをコストの面から見直したCraft series。海外工場によって実現した低価格、Global Series。エントリーモデルのUniverse seriesなどがあります。
ここでは、コスパの良いGlobal Seriesを紹介します。
☆Global Series
(公式ページで詳細を確認)
税抜40,000~53,000円程度(調査時)
日本の技術者の指導の下、フィリピン工場で製作されたGlobal Series。高価格帯に力を入れてるブランドなので、コスパ重視のモデルも期待が高まります。
個人的には、ピックアップの交換をおすすめします。
【その他】
・Tokai(トーカイ)のVintage Series。(58,000~80,000円程度)
トーカイは、静岡県にある東海楽器製造株式会社(東海楽器)のブランド。OEMとしても有名で、数々の有名ブランドを手掛けていました。Gibson系のコピーモデルが人気ですが、Vintage Seriesにはストラトもあります。
以上です。
皆さまが、素敵なストラトキャスターに出会えますように。
ありがとうございました。
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